薬物治療モニタリング

1. はじめに Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus(MRSA)による感染症患者などにVancomycin(VCM)による治療を成功させるためには, 血中濃度を治療域に維持することが重要であり, 薬物治療モニタリングが不可欠である. 虎の門病院では, TDM(Therapeutic drug monitoring)班と病棟薬剤師の協力体制の下, VCMを投与するすべての症例においてTDMを実施している. 腎機能等の患者評価, 初回及び維持投与量等のVCM投与設計, 効果, 副作用の評価に関するスキルとその標準化について解説する. 抗がん剤は,...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 2; pp. 257 - 263
Main Authors 長谷部, 忍, 伊藤, 忠明, 内田, ゆみ子, 五十嵐, 正博, 田村, 宏美, 林, 昌洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2007
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.127.257

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Summary:1. はじめに Methicillin Resistant Staphylococcus Aureus(MRSA)による感染症患者などにVancomycin(VCM)による治療を成功させるためには, 血中濃度を治療域に維持することが重要であり, 薬物治療モニタリングが不可欠である. 虎の門病院では, TDM(Therapeutic drug monitoring)班と病棟薬剤師の協力体制の下, VCMを投与するすべての症例においてTDMを実施している. 腎機能等の患者評価, 初回及び維持投与量等のVCM投与設計, 効果, 副作用の評価に関するスキルとその標準化について解説する. 抗がん剤は, 殺細胞効果を有し治療域と毒性域の幅が狭く, 最も危険な薬剤の1つである. 当院では有効で安全ながん化学療法を実践するため, 入院患者に注射用抗がん剤投与前に全症例, 病棟薬剤師が, 薬剤管理指導を実施している. 今回, 消化器癌患者に対する化学療法施行患者の症例を通じてファーマシューティカルケアの実践とそのスキルを紹介する. 2. 白血病初回寛解導入療法患者に対するファーマシューティカルケア 白血病は, 治癒可能な悪性疾患である. 白血病患者の治療は, 治癒を目指して, 抗がん剤による強力な寛解導入療法で寛解状態に導き, 寛解後は再発を防止するため一定期間, 維持, 強化療法を施行する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.257