人工消化による赤米および紫黒米の抗酸化能評価と種雌豚への短期給与が酸化ストレス指標に及ぼす影響

本研究は,豚の飼料としての赤米および紫黒米の抗酸化能を評価するとともに,暑熱環境下の種雌豚への給与が体内の抗酸化状態に及ぼす影響を明らかにするために行った。まず,トウモロコシと飼料用米,食用混合米,赤米,紫黒米の各玄米を1mm以下に粉砕して,塩酸ペプシン4時間,パンクレアチン4時間の人工消化を行い,上清中に遊離した抗酸化成分の活性を比較した。トウモロコシ1gからは17.5μmol(トロロックス当量)の抗酸化成分が,飼料用米と食用混合米からは21.0および19.9μmolの抗酸化成分が,それぞれ遊離した。赤米と紫黒米からは27.4,125.2μmolの抗酸化成分が遊離し,トウモロコシの約1.6倍...

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Published in日本養豚学会誌 Vol. 49; no. 3; pp. 109 - 116
Main Authors 松本, 光史, 井上, 寛暁, 山崎, 信, 村上, 斉, 梶, 雄次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本養豚学会 2012
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Summary:本研究は,豚の飼料としての赤米および紫黒米の抗酸化能を評価するとともに,暑熱環境下の種雌豚への給与が体内の抗酸化状態に及ぼす影響を明らかにするために行った。まず,トウモロコシと飼料用米,食用混合米,赤米,紫黒米の各玄米を1mm以下に粉砕して,塩酸ペプシン4時間,パンクレアチン4時間の人工消化を行い,上清中に遊離した抗酸化成分の活性を比較した。トウモロコシ1gからは17.5μmol(トロロックス当量)の抗酸化成分が,飼料用米と食用混合米からは21.0および19.9μmolの抗酸化成分が,それぞれ遊離した。赤米と紫黒米からは27.4,125.2μmolの抗酸化成分が遊離し,トウモロコシの約1.6倍,7.2倍であった。また,紫黒米で,塩酸ペプシンの反応だけを行ってパンクレアチン反応は行わなかった場合でも,反応を全て行った場合の91%量の抗酸化成分が遊離した。次に,種雌豚8頭(体重約110kg)を用いて,給与試験を行った。室温は32°Cに設定して暑熱環境に保ち,20日間の予備飼育の後,本試験を開始した。本試験は,1期7日間の4期,4飼料のラテン方格法で行った。試験期7日間のうち,最初の4日間はトウモロコシ主体の対照飼料2.2kgを1日1回給与し,後半の3日間は,対照飼料あるいは,食用米,赤米,紫黒米の各玄米を50%配合した試験飼料2.2kgを1日1回給与した。試験飼料給与1日目に,飼料給与直前,1時間後,2時間後,4時間後の血漿抗酸化能を評価したところ,紫黒米50%配合飼料の給与により,摂食開始1時間後の血漿抗酸化能が有意に上昇した(P<0.05)。試験飼料給与2日目には尿中の8-OHdGをクレアチニン比で比較したが,赤米および紫黒米給与の効果は見られなかった。
ISSN:0913-882X
1881-655X
DOI:10.5938/youton.49.109