テスト不安状況における不安反応の時系列変化と課題遂行量との関連

不安喚起事態であるピアノ実技試験場面における不安反応と成績との関係を検討することを本研究の目的とした。生理的な不安指標としては心拍を,心理的な不安指標としては主観的緊張度を用いた。得られた主な結果は以下のとおりである。(1)因子分析を用いて不安指標の時系列パターンを抽出した結果,心拍において2因子,緊張度において1因子が得られた。(2)成績を従属変数とし,不安指標と練習量を予測変数とした重回帰分析を行った結果,教師が評価した客観的成績は心拍パターンと緊張のパターンとの関連がみられた。一方,被験者自身の評価した主観的成績は緊張度水準と練習量との関連が強かった。このことから,主観的な不安水準が低い...

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Published in行動療法研究 Vol. 11; no. 2; pp. 119 - 126
Main Authors 宇野, 宏, 吉田, 一誠, 岩永, 誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本認知・行動療法学会 31.03.1986
日本行動療法学会
Subjects
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ISSN0910-6529
2424-2594
DOI10.24468/jjbt.11.2_119

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Summary:不安喚起事態であるピアノ実技試験場面における不安反応と成績との関係を検討することを本研究の目的とした。生理的な不安指標としては心拍を,心理的な不安指標としては主観的緊張度を用いた。得られた主な結果は以下のとおりである。(1)因子分析を用いて不安指標の時系列パターンを抽出した結果,心拍において2因子,緊張度において1因子が得られた。(2)成績を従属変数とし,不安指標と練習量を予測変数とした重回帰分析を行った結果,教師が評価した客観的成績は心拍パターンと緊張のパターンとの関連がみられた。一方,被験者自身の評価した主観的成績は緊張度水準と練習量との関連が強かった。このことから,主観的な不安水準が低いほど主観的成績は高く認知されるが,客観的成績を高めるためには,課題遂行直前の不安を抑制することが重要な要因であるといえよう。
ISSN:0910-6529
2424-2594
DOI:10.24468/jjbt.11.2_119