スポーツ集団内における集合的効力感の評価形成過程:成員の課題遂行能力に着目した検討

先行研究では様々な情報源が集団全体の集合的効力感と関連することが明らかにされてきた。しかし,スポーツ集団内において成員1人1人がどのように集合的効力感を評価したのか,その基礎的な形成過程に関しては明らかではなかった。本研究の目的はスポーツ集団内における集合的効力感の評価形成過程について,特に課題遂行能力の異なる成員に着目して検討することであった。実験参加者は男子大学生23名であり,実験協力者2名とともに3名1組の集団に割り当てられた。実験課題はワイヤーロープを60秒間,あらかじめ定められた基準値以上の張力で維持し続ける張力維持課題であった。実験参加者はこの課題を実験協力者2名よりも課題遂行能力...

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Published in実験社会心理学研究 Vol. 56; no. 1; pp. 33 - 43
Main Authors 手塚, 洋介, 内田, 遼介, 釘原, 直樹, 國部, 雅大, 土屋, 裕睦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本グループ・ダイナミックス学会 2016
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ISSN0387-7973
1348-6276
DOI10.2130/jjesp.1509

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Summary:先行研究では様々な情報源が集団全体の集合的効力感と関連することが明らかにされてきた。しかし,スポーツ集団内において成員1人1人がどのように集合的効力感を評価したのか,その基礎的な形成過程に関しては明らかではなかった。本研究の目的はスポーツ集団内における集合的効力感の評価形成過程について,特に課題遂行能力の異なる成員に着目して検討することであった。実験参加者は男子大学生23名であり,実験協力者2名とともに3名1組の集団に割り当てられた。実験課題はワイヤーロープを60秒間,あらかじめ定められた基準値以上の張力で維持し続ける張力維持課題であった。実験参加者はこの課題を実験協力者2名よりも課題遂行能力という点で劣っている劣位条件,優れている優位条件,そして参加者のみで行う単独条件の3条件で行った。その結果,特に劣位条件において他者の課題遂行能力を手がかりに集合的効力感を評価する傾向が認められた。そして,劣位条件では単独条件,優位条件よりも努力量が低下する社会的手抜きが生起した。最後に,これらの結果について他者に対する能力期待の観点から解釈した。
ISSN:0387-7973
1348-6276
DOI:10.2130/jjesp.1509