高齢入院患者の実用歩行速度獲得要件の検討

本研究では,80歳以上の高齢入院患者を対象として実用歩行速度の獲得に影響を及ぼす要因について検討した.対象は80歳以上の入院患者62名である.運動機能として等尺性膝伸展筋力,下肢荷重率,10m最大歩行速度を評価した.歩行速度の結果より,道路横断に必要な速度(1.0m/s以上)で歩行可能な者をfast群,そうでない者をslow群に分類した.fast群とslow群の2 群間で有意差を認めた項目は年齢,下肢荷重率,等尺性膝伸展筋力であり,そのうちlogistic回帰分析により等尺性膝伸展筋力と下肢荷重率が抽出された.等尺性膝伸展筋力の曲線下面積は0.91であり,0.41kgf/kgをカットオフ値とし...

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Published in高知リハビリテーション専門職大学紀要 Vol. 1; pp. 17 - 21
Main Authors 津田, 泰路, 山﨑, 裕司, 加嶋, 憲作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人高知学園 高知リハビリテーション専門職大学 2020
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Summary:本研究では,80歳以上の高齢入院患者を対象として実用歩行速度の獲得に影響を及ぼす要因について検討した.対象は80歳以上の入院患者62名である.運動機能として等尺性膝伸展筋力,下肢荷重率,10m最大歩行速度を評価した.歩行速度の結果より,道路横断に必要な速度(1.0m/s以上)で歩行可能な者をfast群,そうでない者をslow群に分類した.fast群とslow群の2 群間で有意差を認めた項目は年齢,下肢荷重率,等尺性膝伸展筋力であり,そのうちlogistic回帰分析により等尺性膝伸展筋力と下肢荷重率が抽出された.等尺性膝伸展筋力の曲線下面積は0.91であり,0.41kgf/kgをカットオフ値とした場合,感度および特異度は,79%,91%であった.下肢荷重率の曲線下面積は0.95であり,84.4%をカットオフ値とした場合,感度および特異度は,100%,93%であった.80歳以上の高齢入院患者の実用歩行速度の獲得には下肢荷重率と等尺性膝伸展筋力が影響していた.下肢荷重率は膝伸展筋力より感度,特異度が優れており,80歳以上の高齢入院患者における実用歩行速度の獲得には,左右への重心移動能力が重要なものと考えられた.
ISSN:2435-2535
2435-2543
DOI:10.15028/kochirehadai.1.0_17