高齢者に発症した乳癌と皮膚癌の重複癌の1例
患者は80歳,女性.形成外科で右下腿の扁平上皮癌に対して腫瘍切除を受けた.入院中に左乳房腫瘤の主訴があり,当科を紹介された.左A領域に約3cmの腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で乳癌と診断された.胸部CTでリンパ節腫大,肺転移はなかった.左乳癌に対して両胸筋温存乳房切除術を行った.術後経過は良好で13日目に退院した.腫瘍は3.3×1.6×1.5cm,硬癌,ly(+),v(+),乳管内進展はなく,進行度はT2N0M0,Stage IIAであった.ER(+),PgR(+)であり,術後は内分泌療法を行った.術後4カ月で右鼠径部に径4.5cmの腫瘤が出現し,鼠径部リンパ節郭清術が施行された.病理組織学的検査...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 3317 - 3321 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.3317 |
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Summary: | 患者は80歳,女性.形成外科で右下腿の扁平上皮癌に対して腫瘍切除を受けた.入院中に左乳房腫瘤の主訴があり,当科を紹介された.左A領域に約3cmの腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診で乳癌と診断された.胸部CTでリンパ節腫大,肺転移はなかった.左乳癌に対して両胸筋温存乳房切除術を行った.術後経過は良好で13日目に退院した.腫瘍は3.3×1.6×1.5cm,硬癌,ly(+),v(+),乳管内進展はなく,進行度はT2N0M0,Stage IIAであった.ER(+),PgR(+)であり,術後は内分泌療法を行った.術後4カ月で右鼠径部に径4.5cmの腫瘤が出現し,鼠径部リンパ節郭清術が施行された.病理組織学的検査で皮膚癌の転移と診断された.乳癌術後10カ月に多発性肺転移と右大腿部再発が出現した.乳癌と皮膚癌の重複癌はまれである.自験例では皮膚癌が予後を左右する因子であった.乳癌と皮膚癌の重複癌における乳癌の治療は皮膚癌の予後を考慮しつつ積極的に行うべきである. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.3317 |