腫瘍濃染を伴わない段階で骨転移を来たした微小な肝癌の1例
71歳,男性のC型慢性肝炎例の経過観察中に,AFPが漸増し,右大腿骨頭に転移性病変を発見した.CT・SPIO造影MRI・動脈造影下CTの結果,肝S8に1cmの乏血性の微小結節を認めた.リピオドール動注後のCTにて結節内にリピオドールの集積を認めなかった.3カ月後に右大腿骨の骨折のため,広範切除+大腿骨近位部置換術(Kotz prosthesis)を施行し,中分化型肝癌と判明した.この時に多発性肺転移を認めたが,肝内病変は増大なく一部に早期濃染部を認めた.その3カ月後,AFP・PIVKA-IIが更に上昇し,肺転移巣の増大を認め,肝病変はS8を中心に増大し,門脈腫瘍塞栓を認めた.結局,全経過約10...
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Published in | 肝臓 Vol. 48; no. 10; pp. 511 - 516 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.48.511 |
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Summary: | 71歳,男性のC型慢性肝炎例の経過観察中に,AFPが漸増し,右大腿骨頭に転移性病変を発見した.CT・SPIO造影MRI・動脈造影下CTの結果,肝S8に1cmの乏血性の微小結節を認めた.リピオドール動注後のCTにて結節内にリピオドールの集積を認めなかった.3カ月後に右大腿骨の骨折のため,広範切除+大腿骨近位部置換術(Kotz prosthesis)を施行し,中分化型肝癌と判明した.この時に多発性肺転移を認めたが,肝内病変は増大なく一部に早期濃染部を認めた.その3カ月後,AFP・PIVKA-IIが更に上昇し,肺転移巣の増大を認め,肝病変はS8を中心に増大し,門脈腫瘍塞栓を認めた.結局,全経過約10カ月で死亡された.画像上は単発で1cm大の微小な肝癌と思われたが,既に骨転移を伴っており,稀な進展様式と思われた. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.48.511 |