Fleroxacin (FLRX) の感染性腸炎に対する基礎的・臨床的検討

fleroxacin (FLRX) の細菌性赤痢, サルモネラ腸炎を主とする感染性腸炎患者および保菌者143例に対する臨床的検討を行い, 併せて臨床分離株に対する抗菌力, 糞便中への移行および腸内細菌叢に対する影響を検討した. 投与方法は, 1日1回200mg (200mg群) あるいは300mg (300mg群) を, コレラには3日間, サルモネラ腸炎には7日間, その他の腸炎には5日間経口投与とした. 臨床効果は, 200mg群, 300mg群とも有効率100%であった. 細菌学的効果は, 200mg群の赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌, 腸炎ビブリオ, コレラ菌では有効率100%, カン...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 68; no. 11; pp. 1390 - 1408
Main Authors 相楽, 裕子, 冨澤, 功, 滝澤, 慶彦, 新田, 義朗, 角田, 隆文, 山口, 剛, 増田, 剛太, 根岸, 昌功, 味澤, 篤, 村田, 三紗子, 大西, 健児, 入交, 昭一郎, 松岡, 康夫, 小花, 光夫, 松本, 文夫, 今井, 健郎, 天野, 冨貴子, 中村, 千衣, 村元, 章, 加納, 英行, 細田, 四郎, 馬場, 忠雄, 中條, 忍, 吉川, 邦生, 中川, 雅夫, 安田, 典正, 金, 龍起, 赤尾, 満, 阪上, 賀洋, 山田, 純子, 吉田, 英樹, 川口, 義夫, 田村, 和也, 村井, 雅巳, 相坂, 忠一, 築山, 文昭, 三上, 素子, 栗村, 統, 田村, 律, 三浦, 浩介, 今川, 八束, 松原, 義雄, 齋藤, 誠, 中谷, 林太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.11.1994
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Summary:fleroxacin (FLRX) の細菌性赤痢, サルモネラ腸炎を主とする感染性腸炎患者および保菌者143例に対する臨床的検討を行い, 併せて臨床分離株に対する抗菌力, 糞便中への移行および腸内細菌叢に対する影響を検討した. 投与方法は, 1日1回200mg (200mg群) あるいは300mg (300mg群) を, コレラには3日間, サルモネラ腸炎には7日間, その他の腸炎には5日間経口投与とした. 臨床効果は, 200mg群, 300mg群とも有効率100%であった. 細菌学的効果は, 200mg群の赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌, 腸炎ビブリオ, コレラ菌では有効率100%, カンピロバクターでは63.6%であり, 300mg群の赤痢菌では有効率93.3%, カンピロバクター大腸菌では100%であった. 副作用は200mg群, 300mg群で各1例 (1.1%, 2.1%) に皮疹がみられた. 臨床検査値異常は200mg群で好酸球の増加, GOT・GPTの上昇の2例 (2.8%), 300mg群でGPTの上昇の1例 (2.9%) であった. 有用性満足率 (満足以上) は, 200mg群, 300mg群それぞれ92.9%, 93.3%であった. 抗菌力は, 赤痢菌, サルモネラ, 大腸菌に対し, MIC90値でそれぞれ0.1, 0.2, 0.1μg/mlであった. 糞便中の薬剤ピーク濃度は, 200mg群2例では49.0μg/g, 274.4μg/gであり, 300mg群2例では43.3μg/g, 検出限界 (5.0μg/g) 以下であった. 腸内細菌叢 (4例) は, 1例を除き, 投与中にEnterobacteriaceaeの減少が認められたが, 投与終了後には回復傾向を示した. 嫌気性菌群に対する影響は認められなかった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.1390