肺癌消化管転移の2例

原発性非小細胞肺癌の胃転移症例(70歳,男性)と直腸転移症例(63歳,男性)の2例を経験した.いずれも消化管出血の精査にて転移部位の診断がつき,出血のコントロールのため外科的に治療を行った.しかしわれわれの経験した2症例も,その後の経過より胃や直腸だけではなく,他のいくつかの臓器にも転移が認められ,広範な血行性転移の一部として発見されたものと考えられた.予後に関しても再発確認後,それぞれ3カ月と5カ月で癌死し,転移巣の発見や治療は予後には影響を与えないと考えられた.非小細胞肺癌の現行の化学療法や放射線療法の効果も期待できない為,転移巣に対する治療は,患者本人,家族との十分なInformed c...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 2; pp. 389 - 393
Main Authors 笹嶋, 唯博, 平田, 哲, 及川, 賢輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.2_389

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Summary:原発性非小細胞肺癌の胃転移症例(70歳,男性)と直腸転移症例(63歳,男性)の2例を経験した.いずれも消化管出血の精査にて転移部位の診断がつき,出血のコントロールのため外科的に治療を行った.しかしわれわれの経験した2症例も,その後の経過より胃や直腸だけではなく,他のいくつかの臓器にも転移が認められ,広範な血行性転移の一部として発見されたものと考えられた.予後に関しても再発確認後,それぞれ3カ月と5カ月で癌死し,転移巣の発見や治療は予後には影響を与えないと考えられた.非小細胞肺癌の現行の化学療法や放射線療法の効果も期待できない為,転移巣に対する治療は,患者本人,家族との十分なInformed consentのうえ,治療戦略をたてるべきである.もし外科的治療を選択した場合は,患者のPerformance Statusを評価し,重篤な合併症を併発する前に,その後のQOLを考慮した,より侵襲の少ない手術法を選択すべきと考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.2_389