経肛門的スリーブ切除とV-Y皮弁により肛門機能を温存した肛門周囲Paget病の1例
症例は77歳,男性.疼痛を伴う肛門周囲糜爛を主訴に来院した.直腸肛門管に明らかな腫瘍性病変を認めなかったが,皮膚生検による免疫組織染色にてcytokeratin 20(CK20)陽性,gross cystic disease fluid protein 15(GCDFP15)陰性を示し,肛門管癌によるPagetoid spreadが強く疑われた.明らかな肛門管癌を認めないことから,total biopsyと根治手術を兼ねて経肛門的スリーブ切除による広範切除とV-Y皮弁による再建術を施行した.最終病理診断は肛門管癌(tub1,pMl,ly0,v0)によるPagetoid spreadで,自然肛門...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 3223 - 3227 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.69.3223 |
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Summary: | 症例は77歳,男性.疼痛を伴う肛門周囲糜爛を主訴に来院した.直腸肛門管に明らかな腫瘍性病変を認めなかったが,皮膚生検による免疫組織染色にてcytokeratin 20(CK20)陽性,gross cystic disease fluid protein 15(GCDFP15)陰性を示し,肛門管癌によるPagetoid spreadが強く疑われた.明らかな肛門管癌を認めないことから,total biopsyと根治手術を兼ねて経肛門的スリーブ切除による広範切除とV-Y皮弁による再建術を施行した.最終病理診断は肛門管癌(tub1,pMl,ly0,v0)によるPagetoid spreadで,自然肛門温存の根治手術となりえた.本症例の如く,肛門周囲Paget病においてCK20陽性/GCDFP15陰性で術前に直腸肛門管癌が確認しえなかった場合,肛門管粘膜のスリーブ切除による広範切除は妥当な選択のひとつと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.3223 |