尾状葉原発肝血管筋脂肪腫の1例

症例は41歳女性.検診の腹部超音波検査で尾状葉突起部に突出型,35mm大の肝腫瘤を指摘された.HBs抗原ならびにHCV抗体は陰性であった.経口避妊薬などの内服歴はなかった.腹部CT, MRI,超音波検査で腫瘤全体は早期で強く造影され,後期ではwash outされた.MRIではT1強調で低信号,T2強調で一部やや高信号であった.血管造影でも腫瘍は強く濃染された.PET-CTでは腫瘍に18F-FDGの集積を認めなかった.AFPならびにPIVKA-Ⅱは基準値内であった.肝細胞癌など悪性腫瘍の可能性も完全には否定出来ず,増大傾向を認めた為,診断かつ治療目的で,腹腔鏡補助下肝尾状葉突起部部分切除術を施行...

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Published in山口医学 Vol. 62; no. 1; pp. 21 - 26
Main Authors 河岡, 徹, 深田, 武久, 桑原, 太一, 松隈, 聰, 金子, 唯, 原田, 俊夫, 平木, 桜夫, 福田, 進太郎, 播磨, 陽平, 浦山, 直樹, 久野, 興子, 松崎, 祐子, 佐貫, 和俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.02.2013
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Summary:症例は41歳女性.検診の腹部超音波検査で尾状葉突起部に突出型,35mm大の肝腫瘤を指摘された.HBs抗原ならびにHCV抗体は陰性であった.経口避妊薬などの内服歴はなかった.腹部CT, MRI,超音波検査で腫瘤全体は早期で強く造影され,後期ではwash outされた.MRIではT1強調で低信号,T2強調で一部やや高信号であった.血管造影でも腫瘍は強く濃染された.PET-CTでは腫瘍に18F-FDGの集積を認めなかった.AFPならびにPIVKA-Ⅱは基準値内であった.肝細胞癌など悪性腫瘍の可能性も完全には否定出来ず,増大傾向を認めた為,診断かつ治療目的で,腹腔鏡補助下肝尾状葉突起部部分切除術を施行した.最終診断は肝血管筋脂肪腫(肝AML),筋腫型であった.術後の経過は良好で,第9病日に軽快退院した.肝AMLの中でも腫瘍内に脂肪成分が殆どない筋腫型の場合,他の疾患との鑑別は困難である.また腫瘍が小さい場合は細小肝癌との区別に苦慮する場合もある.そのため,診断治療目的に腹腔鏡(補助)下肝切除術を行うことは有用と思われる.本症例は腹腔鏡下手術が手技的に難しい尾状葉原発であったが,突起部からの突出型であったため,腹腔鏡補助下で手術を行い,確定診断が得られた.肝尾状葉原発腫瘍であっても,症例を選択すれば,腹腔鏡(補助)下肝部分切除術は可能である.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.62.21