膀胱癌に対するBCG膀胱内投与により誘発されたgranulomatous hepatitisの1例

症例は58歳,男性.不明熱,肝機能障害精査のため入院.血液検査,画像診断・各種培養を行ったが,原因不明であった.肝生検により肉芽腫性肝炎と診断された.入院時の胸部単純レントゲン・CTでは異常所見を認めなかったが,経過中に再検したところ両肺野にび慢性に広がる粒状影が認められ,transbronchial lung biopsy,骨髄からも肉芽腫病変を認めた.膀胱癌に対してBacillus Calmette-Guerin膀胱内注入療法の既往があったことより,粟粒結核を疑い抗結核療法を施行した結果,解熱し,肝機能も改善して軽快退院となった.Bacillus Calmette-Guerin播腫による重...

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Published in肝臓 Vol. 49; no. 12; pp. 560 - 567
Main Authors 宮川, 正秀, 永井, 晋太郎, 森山, 光彦, 阿部, 真久, 石上, 晃庸, 小泉, 里美, 藤川, 博敏, 松岡, 俊一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2008
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.49.560

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Summary:症例は58歳,男性.不明熱,肝機能障害精査のため入院.血液検査,画像診断・各種培養を行ったが,原因不明であった.肝生検により肉芽腫性肝炎と診断された.入院時の胸部単純レントゲン・CTでは異常所見を認めなかったが,経過中に再検したところ両肺野にび慢性に広がる粒状影が認められ,transbronchial lung biopsy,骨髄からも肉芽腫病変を認めた.膀胱癌に対してBacillus Calmette-Guerin膀胱内注入療法の既往があったことより,粟粒結核を疑い抗結核療法を施行した結果,解熱し,肝機能も改善して軽快退院となった.Bacillus Calmette-Guerin播腫による重症例,死亡例も少なからず存在することから,早期診断,治療が必要と思われる.本症のように入院時肺所見が乏しく肝機能障害を認める症例は,積極的な肝生検診断が重要で不明熱検索目的の肝生検では結核を念頭においたPCRや培養目的の凍結組織などの検体採取も必要と思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.49.560