経皮的ラジオ波焼灼術後に門脈ガス血症を伴う肝梗塞をきたしたB型肝硬変合併肝細胞癌の1例

症例は60歳代,男性.B型肝硬変,肝内腫瘍性病変(SOL)の精査目的にて紹介受診.S7/8およびS3にSOLを認め,肝動脈塞栓術および経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)にて加療した.6カ月後のCTにて新規SOL(S6)および門脈後区域枝に接するRFA後局所再発病変(S7/8)を認め,2回目入院となった.2病変が同一穿刺ライン上に並ぶため,肝表に近い新規SOL(S6)をRFAし,そこを貫くように1週後に局所再発病変(S7/8)のRFAを行った.腫瘍内最終温度は87°Cであった.第2病日のCTで右葉後区域は楔形の低吸収域を示し,内部に樹枝状のガス像を認めた.門脈ガス血症を伴う肝梗塞と診断した.RFAに...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 48; no. 11; pp. 538 - 545
Main Authors 宮林, 千春, 根石, 政男, 川西, 祥宏, 草場, 亜矢子, 窪田, 芳樹, 椎名, 秀一朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2007
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は60歳代,男性.B型肝硬変,肝内腫瘍性病変(SOL)の精査目的にて紹介受診.S7/8およびS3にSOLを認め,肝動脈塞栓術および経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)にて加療した.6カ月後のCTにて新規SOL(S6)および門脈後区域枝に接するRFA後局所再発病変(S7/8)を認め,2回目入院となった.2病変が同一穿刺ライン上に並ぶため,肝表に近い新規SOL(S6)をRFAし,そこを貫くように1週後に局所再発病変(S7/8)のRFAを行った.腫瘍内最終温度は87°Cであった.第2病日のCTで右葉後区域は楔形の低吸収域を示し,内部に樹枝状のガス像を認めた.門脈ガス血症を伴う肝梗塞と診断した.RFAによる肝梗塞は稀(0.038∼0.4%)であるが,その後に肝膿瘍や肝不全の合併を伴うことがあるため注意を要する.門脈ガス血症は一般的に予後不良であるが,保存的に治癒できた.RFA後に門脈ガス血症を伴う肝梗塞をきたした報告はなく報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.48.538