浸潤性乳管癌を合併した乳腺adenomyoepitheliomaの1例

症例は70歳,女性.左乳房AC領域の7.5×6.5cm大の腫瘤を主訴に来院した.マンモグラフィでは,辺縁が微細鋸歯状で分葉状の高濃度腫瘤を示しカテゴリー4,乳房超音波検査では形状不整,境界やや不明瞭,内部不均一な低エコー腫瘤を示した.穿刺吸引細胞診にて乳管癌を合併したadenomyoepitheliomaと診断され,左乳房切除術および腋窩郭清を行った.病理組織標本では,腫瘍の中央部に乳腺adenomyoepitheliomaを,周辺に硬癌および非浸潤性乳管癌を認めたが連続性はなく,別々に発生して衝突したものと考えられた.乳腺adenomyoepitheliomaは腺上皮細胞と筋上皮細胞がともに...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 3074 - 3078
Main Authors 諏訪, 裕文, 安水, 良知, 橘, 強, 近藤, 昌平, 今村, 卓司, 大塩, 学而
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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Summary:症例は70歳,女性.左乳房AC領域の7.5×6.5cm大の腫瘤を主訴に来院した.マンモグラフィでは,辺縁が微細鋸歯状で分葉状の高濃度腫瘤を示しカテゴリー4,乳房超音波検査では形状不整,境界やや不明瞭,内部不均一な低エコー腫瘤を示した.穿刺吸引細胞診にて乳管癌を合併したadenomyoepitheliomaと診断され,左乳房切除術および腋窩郭清を行った.病理組織標本では,腫瘍の中央部に乳腺adenomyoepitheliomaを,周辺に硬癌および非浸潤性乳管癌を認めたが連続性はなく,別々に発生して衝突したものと考えられた.乳腺adenomyoepitheliomaは腺上皮細胞と筋上皮細胞がともに増殖する乳腺腫瘍で,大部分が良性と考えられているため,浸潤性乳管癌を同側に合併した症例は極めて稀であり,本邦4例目である.術後2年まで転移・再発所見はなく経過観察中である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.3074