二次性アカラシアにより確定診断が遅延した食道癌の1例

二次性アカラシアは,他疾患に続発して食道アカラシアと類似した臨床所見を呈する病態であり,悪性疾患に続発することが多い.症例は71歳,女性.嚥下困難感を主訴に近医を受診し,画像診断により食道アカラシアと診断され,バルーン拡張が施行された.しかしながら,狭窄症状は進行性に増悪し,3カ月の経過で10kgの体重減少をきたしたため,当院を受診した.精査の結果,びまん浸潤型の腹部食道癌と診断され,経食道裂孔経路で下部食道切除,食道胃吻合が施行された.病理組織学的には,リンパ節転移を伴う扁平上皮癌であり,T3N1M0,StageIIIと診断された.本邦における癌に随伴した二次性アカラシアの報告例を検索したと...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 11; pp. 2836 - 2841
Main Authors 只野, 惣介, 久倉, 勝治, 寺島, 秀夫, 大河内, 信弘, 稲川, 智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2836

Cover

More Information
Summary:二次性アカラシアは,他疾患に続発して食道アカラシアと類似した臨床所見を呈する病態であり,悪性疾患に続発することが多い.症例は71歳,女性.嚥下困難感を主訴に近医を受診し,画像診断により食道アカラシアと診断され,バルーン拡張が施行された.しかしながら,狭窄症状は進行性に増悪し,3カ月の経過で10kgの体重減少をきたしたため,当院を受診した.精査の結果,びまん浸潤型の腹部食道癌と診断され,経食道裂孔経路で下部食道切除,食道胃吻合が施行された.病理組織学的には,リンパ節転移を伴う扁平上皮癌であり,T3N1M0,StageIIIと診断された.本邦における癌に随伴した二次性アカラシアの報告例を検索したところ,16例が報告されていたが,約半数で食道アカラシアと誤診され,確定診断が遅延していた.本稿において,二次性アカラシアの総論と述べるとともに,診断上の問題点,特にTucker's criteriaについて論じた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2836