上皮小体機能亢進症とMEN1型合併胸腺カルチノイドに対する同時手術の1例

患者は20歳代,男性.低血糖発作の精査でMEN1型と診断され同時に胸腺腫瘤も指摘された.インスリノーマの手術後,胸腺腫瘤の手術目的で当科紹介となった.血液検査では,上皮小体ホルモンの高値を認め,CTおよびMRIにて,前縦隔に辺縁平滑・内部均一な25mmの楕円形結節を認めた.MIBIシンチでは,甲状腺下極,左鎖骨上窩に淡い集積増加を認めた.上皮小体機能亢進症および胸腺カルチノイド疑いの診断で,拡大胸腺摘出術,上皮小体摘出術,縦隔・鎖骨上窩リンパ節郭清を施行した.病理組織診断では,胸腺腫瘤は非定型カルチノイドと診断された.術後経過は良好であった.胸腺カルチノイド症例では,鎖骨上窩を含めた十分なリン...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 12; pp. 3133 - 3139
Main Authors 江口, 隆, 加藤, 響子, 近藤, 竜一, 椎名, 隆之, 天野, 純, 吉田, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.3133

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Summary:患者は20歳代,男性.低血糖発作の精査でMEN1型と診断され同時に胸腺腫瘤も指摘された.インスリノーマの手術後,胸腺腫瘤の手術目的で当科紹介となった.血液検査では,上皮小体ホルモンの高値を認め,CTおよびMRIにて,前縦隔に辺縁平滑・内部均一な25mmの楕円形結節を認めた.MIBIシンチでは,甲状腺下極,左鎖骨上窩に淡い集積増加を認めた.上皮小体機能亢進症および胸腺カルチノイド疑いの診断で,拡大胸腺摘出術,上皮小体摘出術,縦隔・鎖骨上窩リンパ節郭清を施行した.病理組織診断では,胸腺腫瘤は非定型カルチノイドと診断された.術後経過は良好であった.胸腺カルチノイド症例では,鎖骨上窩を含めた十分なリンパ節郭清が必要である.MEN1型合併症例では,上皮小体機能亢進症に対する頸部手術を同時に行うことで,前胸部正中切開のみでは困難な鎖骨上窩へのアプローチが容易となり,十分な郭清が可能になると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.3133