肺肉腫との鑑別を要した肺炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の1例

肺炎症性筋線維芽細胞性腫瘍は稀な肺疾患であり,良性~低悪性度の腫瘍とされている.症例は23歳女性.健診の胸部X線にて異常陰影を指摘され当院紹介となった.胸部CTにて右肺S1領域に17mm大の境界明瞭,濃度均一な結節を認めた.術前気管支鏡検査にて肺肉腫を疑われ,手術を施行した.術中迅速肺組織診においても肺肉腫の診断であり,上葉切除リンパ節郭清を施行した.術後の病理診断では細胞密度の高い紡錘形細胞の増生とリンパ球・形質細胞などの炎症細胞浸潤を認めた.核異型を軽度認めたが,分裂像,壊死像は認めず,MIB-1 indexは5~10%程度であった.α-SMA,ALKに陽性であり,肺炎症性筋線維芽細胞性腫...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 4; pp. 770 - 775
Main Authors 佐藤, 征二郎, 保坂, 靖子, 富樫, 賢一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2010
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Summary:肺炎症性筋線維芽細胞性腫瘍は稀な肺疾患であり,良性~低悪性度の腫瘍とされている.症例は23歳女性.健診の胸部X線にて異常陰影を指摘され当院紹介となった.胸部CTにて右肺S1領域に17mm大の境界明瞭,濃度均一な結節を認めた.術前気管支鏡検査にて肺肉腫を疑われ,手術を施行した.術中迅速肺組織診においても肺肉腫の診断であり,上葉切除リンパ節郭清を施行した.術後の病理診断では細胞密度の高い紡錘形細胞の増生とリンパ球・形質細胞などの炎症細胞浸潤を認めた.核異型を軽度認めたが,分裂像,壊死像は認めず,MIB-1 indexは5~10%程度であった.α-SMA,ALKに陽性であり,肺炎症性筋線維芽細胞性腫瘍と診断した.同疾患は術前・術中診断が困難なことが多く,手術においては腫瘤の完全切除が診断および治療の点において重要である.肺肉腫との鑑別を要した自験例と本邦報告例を併せて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.24.770