胸壁切除後の肩甲骨陥入に対する1手術例

症例は20歳代,女性.2002年3月,左胸壁腫瘍に対し,左第1肋骨から第5肋骨までの広範囲胸壁切除を行った.切除が広範囲でMeshの縫着部位に乏しく,背側胸郭で胸郭動揺の危険性がないため,胸壁再建は行わなかった.病理組織学的検査でデスモイド腫瘍と診断され,また切除断端陽性であったため,放射線治療とタモキシフェンによるホルモン療法を開始した.術後2日目より左上肢の外転を試みると,肩甲骨が胸腔内に陥入し肋骨にブロックされ,上肢の可動性が失われた.放射線治療終了後に肩甲骨の胸腔内陥入を防止するため,meshを肩甲骨に巻きつけるようにして肩甲骨を固定した.その後陥入はなく,また術後5年目の時点で再発を...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 231 - 235
Main Authors 山口, 剛, 山本, 英喜, 柴田, 諭, 赤山, 幸一, 古賀, 理恵, 伊関, 正彦, 山木, 実, 吉岡, 伸吉郎, 浅原, 利正, 宮田, 義浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
Subjects
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.231

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Summary:症例は20歳代,女性.2002年3月,左胸壁腫瘍に対し,左第1肋骨から第5肋骨までの広範囲胸壁切除を行った.切除が広範囲でMeshの縫着部位に乏しく,背側胸郭で胸郭動揺の危険性がないため,胸壁再建は行わなかった.病理組織学的検査でデスモイド腫瘍と診断され,また切除断端陽性であったため,放射線治療とタモキシフェンによるホルモン療法を開始した.術後2日目より左上肢の外転を試みると,肩甲骨が胸腔内に陥入し肋骨にブロックされ,上肢の可動性が失われた.放射線治療終了後に肩甲骨の胸腔内陥入を防止するため,meshを肩甲骨に巻きつけるようにして肩甲骨を固定した.その後陥入はなく,また術後5年目の時点で再発を認めていない.胸壁の広範囲切除後の上肢外転障害に肩甲骨固定術は有用な方法である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.231