c-kit陽性細胞を含有した巨大後腹膜脂肪肉腫の1例

後腹膜脂肪肉腫はその大きさと組織学的多様性ゆえに注目される. 今回われわれは巨大脂肪肉腫の症例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性. 術前画像診断により脂肪肉腫と診断した. 手術時, 腫瘍は肝後区域, 右腎, 右横隔膜の一部を合併切除することで摘出可能であった. 腫瘍の重量は9.7kg. 組織診断で脱分化型脂肪肉腫と診断された. 腫瘍の半分は紡錘形で核異型の強い脂肪細胞で占められた充実性の部分であった. 脂肪肉腫の部分には脂肪芽細胞も見受けられた. 初回手術より3年後に再発を認め, 再摘出術を施行した. 更なる2回の再発にも関わらず, 積極的な手術療法により, 術後5年である現在,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 10; pp. 2631 - 2636
Main Authors 藤森, 芳朗, 西村, 博行, 宮本, 英雄, 五十嵐, 淳, 三澤, 良輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2631

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Summary:後腹膜脂肪肉腫はその大きさと組織学的多様性ゆえに注目される. 今回われわれは巨大脂肪肉腫の症例を経験したので報告する. 症例は53歳, 男性. 術前画像診断により脂肪肉腫と診断した. 手術時, 腫瘍は肝後区域, 右腎, 右横隔膜の一部を合併切除することで摘出可能であった. 腫瘍の重量は9.7kg. 組織診断で脱分化型脂肪肉腫と診断された. 腫瘍の半分は紡錘形で核異型の強い脂肪細胞で占められた充実性の部分であった. 脂肪肉腫の部分には脂肪芽細胞も見受けられた. 初回手術より3年後に再発を認め, 再摘出術を施行した. 更なる2回の再発にも関わらず, 積極的な手術療法により, 術後5年である現在, 外来通院中である. 後腹膜脂肪肉腫の化学療法, 放射線療法の有効性についての有意差を持った報告は認めず, その施行については異論のあるところである. 現在もなお手術療法が標準治療であることにかわりはない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2631