ACTH産生肺腺癌の一切除例

症例は64歳男性.陳旧性脳梗塞による左半身不全麻痺を認めた.全身倦怠感,高血圧に対し精査を施行したところ,高ACTH血症を認めた.また胸部X線像,胸部CT像上右S6に腫瘤性病変を認め,気管支鏡下生検で肺腺癌(C-T2N0M0 stage IB)と診断した.右下葉切除,縦隔リンパ節郭清術を施行した.腫瘍細胞のACTH免疫染色で陽性像を呈したことからACTH産生肺腺癌(p-T2N0M0 stage IB)と診断した.術後,血中ACTH値は低下し,降圧薬の減量が可能であった.術後6ヵ月経過したが再発および血中ACTH値の再上昇は認めていない.肺腫瘍による異所性ACTH産生は肺小細胞癌,カルチノイドに...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 20; no. 5; pp. 756 - 759
Main Authors 月岡, 卓馬, 井上, 清俊, 岩田, 隆, 水口, 真二郎, 森田, 隆平, 末広, 茂文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2006
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Summary:症例は64歳男性.陳旧性脳梗塞による左半身不全麻痺を認めた.全身倦怠感,高血圧に対し精査を施行したところ,高ACTH血症を認めた.また胸部X線像,胸部CT像上右S6に腫瘤性病変を認め,気管支鏡下生検で肺腺癌(C-T2N0M0 stage IB)と診断した.右下葉切除,縦隔リンパ節郭清術を施行した.腫瘍細胞のACTH免疫染色で陽性像を呈したことからACTH産生肺腺癌(p-T2N0M0 stage IB)と診断した.術後,血中ACTH値は低下し,降圧薬の減量が可能であった.術後6ヵ月経過したが再発および血中ACTH値の再上昇は認めていない.肺腫瘍による異所性ACTH産生は肺小細胞癌,カルチノイドによるものがほとんどである.ACTH産生肺腺癌は極めて稀な疾患で,報告例は自験例を含め5例で切除例としては2例目であった.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.20.756