術後9年目に髄膜癌腫症で再発した早期胃癌の1例

症例は64歳,女性.胃角部大彎前壁のIIc typeの早期胃癌の診断で平成12年に幽門側胃切除術,B-I法再建,D1+α郭清を施行した.病理ではpor2>sig,T1(SM),N2(25/26),H0,P0でStageIIであった.術後フルツロン800mg/dayの内服を5年間継続し,転移再発を認めなかったため内服中止として経過をみていた.平成21年3月に入ってから頭痛が出現.次第に増悪し,めまいや嘔吐を伴うため入院精査となった.髄液穿刺を施行したところ,class V,腺癌細胞が検出され,髄膜癌腫症と診断した.MTX 10mgの髄腔内注入を開始すると,頭痛は軽快し退院可能となった.その...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 12; pp. 3561 - 3564
Main Authors 久保, 章, 吉田, 謙一, 門倉, 俊明, 長嶺, 弘太郎, 亀田, 久仁郎, 竹川, 義則, 田中, 優作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.3561

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Summary:症例は64歳,女性.胃角部大彎前壁のIIc typeの早期胃癌の診断で平成12年に幽門側胃切除術,B-I法再建,D1+α郭清を施行した.病理ではpor2>sig,T1(SM),N2(25/26),H0,P0でStageIIであった.術後フルツロン800mg/dayの内服を5年間継続し,転移再発を認めなかったため内服中止として経過をみていた.平成21年3月に入ってから頭痛が出現.次第に増悪し,めまいや嘔吐を伴うため入院精査となった.髄液穿刺を施行したところ,class V,腺癌細胞が検出され,髄膜癌腫症と診断した.MTX 10mgの髄腔内注入を開始すると,頭痛は軽快し退院可能となった.その後も外来で髄腔内注入を継続.髄液中の細胞数も減少し髄膜播種に対しては効果的だったが,皮膚転移,肺転移,肝転移などが新たに出現.次第に全身状態は悪化し,7月に永眠された.非常に稀な,術後長期経過後の早期胃癌の髄膜播種再発を経験したのでこれを報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.3561