術前診断のもと腹腔鏡下に修復した大網裂孔ヘルニアの1例

内ヘルニアはまれな疾患で,中でも大網裂孔ヘルニアはその3%に過ぎず,特徴的な臨床所見に乏しく,診断治療の遅れから手術時腸管壊死となっていることも多い.今回われわれは,術前診断を得たうえで腹腔鏡下手術により整復,修復した大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.症例は88歳の女性.右大腿骨骨折で当院整形外科に入院中の平成20年2月下旬夜嘔吐,腹痛が出現した.翌朝腹部CTで大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し同日緊急腹腔鏡下手術を行った.小腸は切除不要であった.一般に大網裂孔ヘルニアの術前診断は困難であるとされているが,本例ではMultidetector row C...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 12; pp. 3694 - 3698
Main Authors 舛田, 誠二, 藤村, 昌樹, 佐藤, 功, 弓場, 孝郁, 沖田, 充司, 高原, 秀典
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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Summary:内ヘルニアはまれな疾患で,中でも大網裂孔ヘルニアはその3%に過ぎず,特徴的な臨床所見に乏しく,診断治療の遅れから手術時腸管壊死となっていることも多い.今回われわれは,術前診断を得たうえで腹腔鏡下手術により整復,修復した大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.症例は88歳の女性.右大腿骨骨折で当院整形外科に入院中の平成20年2月下旬夜嘔吐,腹痛が出現した.翌朝腹部CTで大網裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し同日緊急腹腔鏡下手術を行った.小腸は切除不要であった.一般に大網裂孔ヘルニアの術前診断は困難であるとされているが,本例ではMultidetector row CT(MD-CT)により診断が可能であった.しかし確診は得られずとも,内ヘルニアが疑われた場合,診断を兼ねた腹腔鏡下手術を行うことは有用であると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.3694