巨大な孤立性肺腫瘤影を呈したWegener肉芽腫症の一切除例

症例は53歳男性.発熱,右胸背部痛にて近医を受診.胸部X線写真,CTにて右上葉に10cm大の腫瘤を認め,内部に壊死を疑わせるlow densityと少量のairを認めた.気管支鏡検査を2回行ったが診断確定に至らず.肺癌を疑い右上葉切除,壁側胸膜合併切除術を行った.術中迅速組織診では悪性所見はなく,大半が壊死組織で一部に多核巨細胞を認めるもチール・ニールゼン染色は陰性であった.切除標本の病理組織所見はWegener肉芽腫症(以下WG)の診断基準に合致していた.術後炎症反応が高値遷延し,上下肢の疼痛,筋力低下も出現.C-ANCA値が216EUと高値で,下腿に血管炎による皮疹も出現.診断基準に基づき...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 217 - 220
Main Authors 福原, 謙二郎, 冨田, 栄美子, 明石, 章則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.22.217

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Summary:症例は53歳男性.発熱,右胸背部痛にて近医を受診.胸部X線写真,CTにて右上葉に10cm大の腫瘤を認め,内部に壊死を疑わせるlow densityと少量のairを認めた.気管支鏡検査を2回行ったが診断確定に至らず.肺癌を疑い右上葉切除,壁側胸膜合併切除術を行った.術中迅速組織診では悪性所見はなく,大半が壊死組織で一部に多核巨細胞を認めるもチール・ニールゼン染色は陰性であった.切除標本の病理組織所見はWegener肉芽腫症(以下WG)の診断基準に合致していた.術後炎症反応が高値遷延し,上下肢の疼痛,筋力低下も出現.C-ANCA値が216EUと高値で,下腿に血管炎による皮疹も出現.診断基準に基づき限局型WGと診断した.内科へ転科しステロイド,エンドキサン療法にて症状軽快した.WGでは,肺病変は空洞を伴う多発性陰影を呈することが多く孤立結節を呈することは稀であるが,早期の治療開始により予後改善も期待される疾患であり,鑑別疾患の一つとして念頭に置く必要がある.また,C-ANCA測定も診断に有用である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.217