再燃と寛解を繰り返した胃異所性膵の1例
症例は35歳,女性.原因不明の腹痛で当院受診歴があった.2008年7月同様の腹痛と発熱が出現し再診.腹部造影CTでは内部に低吸収域を伴う胃壁の肥厚を認め,胃壁内膿瘍と診断し入院となった.上部消化管内視鏡検査では,胃幽門部大弯側に粘膜下病変を認めた.抗生剤投与により腹痛は消失,退院となった.2009年4月再び腹痛が出現し,再診.CTでは前回入院時と同様の所見を認め,上部消化管内視鏡検査では,同病変頂部に潰瘍と膿の排出を認めた.以上より再燃性の胃壁内膿瘍と診断,手術を施行した.病変は直径3cm大の境界不明瞭な硬結として触知し,胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では病変部に膵腺房細胞と拡張した...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 12; pp. 3108 - 3112 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2010
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.71.3108 |
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Summary: | 症例は35歳,女性.原因不明の腹痛で当院受診歴があった.2008年7月同様の腹痛と発熱が出現し再診.腹部造影CTでは内部に低吸収域を伴う胃壁の肥厚を認め,胃壁内膿瘍と診断し入院となった.上部消化管内視鏡検査では,胃幽門部大弯側に粘膜下病変を認めた.抗生剤投与により腹痛は消失,退院となった.2009年4月再び腹痛が出現し,再診.CTでは前回入院時と同様の所見を認め,上部消化管内視鏡検査では,同病変頂部に潰瘍と膿の排出を認めた.以上より再燃性の胃壁内膿瘍と診断,手術を施行した.病変は直径3cm大の境界不明瞭な硬結として触知し,胃部分切除術を施行した.病理組織学的検査では病変部に膵腺房細胞と拡張した導管を認め,膿瘍部では高度慢性炎症の像を呈しており,異所性膵に併発した胃壁内膿瘍と診断した.症状を伴う異所性膵は稀であり,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.71.3108 |