肺癌術後乳糜胸についての臨床的検討

1998年1月から2008年5月までに非小細胞肺癌に対して縦隔リンパ節郭清を伴う肺葉切除または肺全摘を施行した782例のうち,術後乳糜胸を来たした17例(2.2%)を対象とし,乳糜胸の診断,治療方法等につきretrospectiveに検討を行った.6例(35%)は脂肪制限食(A群),8例(47%)は絶食・高カロリー輸液(B群)で治癒したが,3例(18%)は胸管結紮術(C群)を必要とした.術後ドレーン排液量は術後5日間すべてC群で有意に多かった.脂肪制限解除時期(10.1±4.1日vs15.8±10.1日vs21.3±21.4日)はC群で遅く,ドレーン抜去時期(8.7±4.6日vs18.9±11...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 120 - 125
Main Authors 木村, 亨, 竹内, 幸康, 前田, 元, 野尻, 崇, 船越, 康信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2009
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.23.120

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Summary:1998年1月から2008年5月までに非小細胞肺癌に対して縦隔リンパ節郭清を伴う肺葉切除または肺全摘を施行した782例のうち,術後乳糜胸を来たした17例(2.2%)を対象とし,乳糜胸の診断,治療方法等につきretrospectiveに検討を行った.6例(35%)は脂肪制限食(A群),8例(47%)は絶食・高カロリー輸液(B群)で治癒したが,3例(18%)は胸管結紮術(C群)を必要とした.術後ドレーン排液量は術後5日間すべてC群で有意に多かった.脂肪制限解除時期(10.1±4.1日vs15.8±10.1日vs21.3±21.4日)はC群で遅く,ドレーン抜去時期(8.7±4.6日vs18.9±11.0日vs12.3±1.5日)と退院時期(28.1±9.9日vs43.8±17.6日vs77.0±66.3日)はA群で早い傾向にあった.術後乳糜胸は発生予防に留意するとともに,保存的治療にもかかわらず1000ml/日以上の排液が持続する場合は速やかな胸管結紮術を考慮すべきと考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.23.120