脾原発血管肉腫の1例

症例は72歳, 女性. 腎嚢胞の経過観察のため施行した腹部CT検査で, 脾臓に腫瘤を指摘され, 精査目的に当院紹介受診となった. 自覚症状はなく, 血液検査では, 軽度の炎症反応を認めるのみであった. 腹部US, CTおよびMRI検査にて, 脾臓に7cmの腫瘤を認めた. 腫瘤の内部は不均一で, 一部cysticな部分を認めた. 脾臓原発の血管腫もしくは血管肉腫を疑い手術を施行し, 病理学的検索にて脾血管肉腫と診断された. 術後3カ月目に肝転移を認め, パクリタキセルによる化学療法を施行したが, 効果なく術後172日目に死亡した. 脾臓原発の血管肉腫は予後不良な疾患であり, 頻度も少ないことから...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 12; pp. 3091 - 3095
Main Authors 森川, 充洋, 田口, 誠一, 杉森, 順二, 山口, 明夫, 河原, 栄, 林, 泰生, 泉, 俊昌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.3091

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Summary:症例は72歳, 女性. 腎嚢胞の経過観察のため施行した腹部CT検査で, 脾臓に腫瘤を指摘され, 精査目的に当院紹介受診となった. 自覚症状はなく, 血液検査では, 軽度の炎症反応を認めるのみであった. 腹部US, CTおよびMRI検査にて, 脾臓に7cmの腫瘤を認めた. 腫瘤の内部は不均一で, 一部cysticな部分を認めた. 脾臓原発の血管腫もしくは血管肉腫を疑い手術を施行し, 病理学的検索にて脾血管肉腫と診断された. 術後3カ月目に肝転移を認め, パクリタキセルによる化学療法を施行したが, 効果なく術後172日目に死亡した. 脾臓原発の血管肉腫は予後不良な疾患であり, 頻度も少ないことから, いまだ治療法が確立していない. 今後, 有効な化学療法, 免疫療法の確立が望まれる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.3091