肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術後に生じた横隔膜ヘルニアの2症例

肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)後に発症した右横隔膜ヘルニアの2症例を経験した.横隔膜の欠損は治療部位に接して生じており,ラジオ波焼灼術による合併症と判断した.RFA治療から発症までの期間は症例1で78週,症例2で112週であった.しかし,横隔膜の断裂は症例1では65週の時点で,症例2では42週の時点でCT上明らかになっていた.横隔膜断裂に加え,肝委縮・腹水貯留・腹圧上昇などにより腸管が横隔膜下腔に入り込むことがヘルニア発症の誘引と考えられた.右葉横隔膜直下の腫瘍に対するラジオ波焼灼術においては,十分量の人工腹水注入や腹腔鏡あるいは開腹下などの横隔膜を損傷しない工夫と治療後の経過...

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Published in肝臓 Vol. 48; no. 11; pp. 529 - 537
Main Authors 豊島, 里志, 丸山, 俊博, 下田, 慎司, 朝永, 千春, 松永, 高志, 田口, 要人, 河野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2007
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.48.529

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Summary:肝細胞癌に対する経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)後に発症した右横隔膜ヘルニアの2症例を経験した.横隔膜の欠損は治療部位に接して生じており,ラジオ波焼灼術による合併症と判断した.RFA治療から発症までの期間は症例1で78週,症例2で112週であった.しかし,横隔膜の断裂は症例1では65週の時点で,症例2では42週の時点でCT上明らかになっていた.横隔膜断裂に加え,肝委縮・腹水貯留・腹圧上昇などにより腸管が横隔膜下腔に入り込むことがヘルニア発症の誘引と考えられた.右葉横隔膜直下の腫瘍に対するラジオ波焼灼術においては,十分量の人工腹水注入や腹腔鏡あるいは開腹下などの横隔膜を損傷しない工夫と治療後の経過観察が重要であると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.48.529