意識消失発作を伴った巨大非機能性膵内分泌腫瘍の1例
症例は57歳,男性.左側腹部腫瘤を主訴に近医を受診し,画像検査で膵悪性腫瘍が疑われ,当院を受診した.腹部CTで左側腹部に膵体部に連続する径15cmの壁肥厚を伴う嚢胞性腫瘤を認めた.FDG-PETでは同部位に異常集積を認め,腹膜播種も疑われた.経皮的穿刺吸引細胞診では膵内分泌腫瘍が疑われた.また入院後,巨大腫瘍が原因と思われる意識消失発作や貧血の進行を認めた.術前診断で腹膜播種が疑われたが,内分泌腫瘍との診断であったこと,および巨大腫瘍に伴う臨床症状が出現したことより,外科的切除を行う方針とした.術中の播種病変の迅速病理検査で膵内分泌腫瘍との確定診断が得られ,膵体尾部切除・横行結腸部分切除・小腸...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 12; pp. 3666 - 3670 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.70.3666 |
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Summary: | 症例は57歳,男性.左側腹部腫瘤を主訴に近医を受診し,画像検査で膵悪性腫瘍が疑われ,当院を受診した.腹部CTで左側腹部に膵体部に連続する径15cmの壁肥厚を伴う嚢胞性腫瘤を認めた.FDG-PETでは同部位に異常集積を認め,腹膜播種も疑われた.経皮的穿刺吸引細胞診では膵内分泌腫瘍が疑われた.また入院後,巨大腫瘍が原因と思われる意識消失発作や貧血の進行を認めた.術前診断で腹膜播種が疑われたが,内分泌腫瘍との診断であったこと,および巨大腫瘍に伴う臨床症状が出現したことより,外科的切除を行う方針とした.術中の播種病変の迅速病理検査で膵内分泌腫瘍との確定診断が得られ,膵体尾部切除・横行結腸部分切除・小腸部分切除を施行した.病理検査では高分化型神経内分泌癌と診断された.術後3カ月目に腹膜播種が再発,5カ月目に肝転移が出現し,化学療法を施行するも,術後1年1カ月後に永眠された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.70.3666 |