集学的治療が奏効したリンパ節転移を伴うStage IVb肝細胞癌の1例

症例は52歳男性で,慢性B型肝炎を背景とする肝細胞癌に対して肝右葉切除術を施行した.術後病理検査の結果,胆嚢頸部のリンパ節に転移を認めStage IVb進行肝細胞癌と診断された.術後残肝再発に対して肝動脈化学塞栓術を,腹部大動脈リンパ節再発に対して全身化学療法を併用しつつ,放射線療法とリンパ節切除術の組み合わせを施行した結果,初回治療後3年9カ月目の現在,明らかな再発兆候なく経過している.肝細胞癌におけるリンパ節再発は予後不良とされ,治療方針に確立したものはない.本症例では肝内病変が制御されており,肝外病変としてのリンパ節再発に対する集学的治療が奏効したものと考えられた....

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Published in肝臓 Vol. 50; no. 10; pp. 571 - 577
Main Authors 中森, 正二, 真能, 正幸, 辻仲, 利政, 宮本, 敦史, 岩佐, 葉子, 小川, 久貴, 辻江, 正徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2009
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.50.571

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Summary:症例は52歳男性で,慢性B型肝炎を背景とする肝細胞癌に対して肝右葉切除術を施行した.術後病理検査の結果,胆嚢頸部のリンパ節に転移を認めStage IVb進行肝細胞癌と診断された.術後残肝再発に対して肝動脈化学塞栓術を,腹部大動脈リンパ節再発に対して全身化学療法を併用しつつ,放射線療法とリンパ節切除術の組み合わせを施行した結果,初回治療後3年9カ月目の現在,明らかな再発兆候なく経過している.肝細胞癌におけるリンパ節再発は予後不良とされ,治療方針に確立したものはない.本症例では肝内病変が制御されており,肝外病変としてのリンパ節再発に対する集学的治療が奏効したものと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.50.571