汎発性腹膜炎を呈した子宮留膿症穿孔の1例

症例は81歳,女性.平成19年8月下旬から発熱(37.4℃)が出現.前医を受診したが,その後も症状改善せず,5日後には意識障害も出現して再度前医を受診.腹部は軽度膨満し下腹部に圧痛を認め,板状硬であった.腹部CTにて腹水と胸水を認め,腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔と汎発性腹膜炎の疑いで当科紹介受診となった.当科においても前医と同様の術前診断にて緊急手術を施行した.開腹すると膿性腹水を認めるも,腸管に穿孔は認められず,子宮底部に2カ所穿孔を認め,子宮内には膿汁が貯留していた.以上より子宮留膿症穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,腟上部子宮亜全摘と経腟的骨盤腔内ドレナージを施行した.子宮留膿症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 11; pp. 2990 - 2994
Main Authors 西村, 真樹, 山下, 純男, 諏訪, 敏一, 鈴木, 裕之, 伊古田, 勇人, 伊藤, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2990

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Summary:症例は81歳,女性.平成19年8月下旬から発熱(37.4℃)が出現.前医を受診したが,その後も症状改善せず,5日後には意識障害も出現して再度前医を受診.腹部は軽度膨満し下腹部に圧痛を認め,板状硬であった.腹部CTにて腹水と胸水を認め,腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔と汎発性腹膜炎の疑いで当科紹介受診となった.当科においても前医と同様の術前診断にて緊急手術を施行した.開腹すると膿性腹水を認めるも,腸管に穿孔は認められず,子宮底部に2カ所穿孔を認め,子宮内には膿汁が貯留していた.以上より子宮留膿症穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,腟上部子宮亜全摘と経腟的骨盤腔内ドレナージを施行した.子宮留膿症は社会の高齢化に伴って増加している疾患であり,汎発性腹膜炎の原因疾患鑑別に本症の穿孔を常に念頭に置いておく必要があると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2990