Unilocular peritoneal inclusion cystと考えられた後腹膜漿液性嚢胞の1例
内腔が中皮細胞で覆われた後腹膜漿液性嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は, 虫垂切除と帝王切開の既往がある54歳, 女性. 自覚症状は無かったが, 検診で右後腹膜嚢胞を指摘され, 当科受診となった. 嚢胞穿刺で, 約500mlの漿液性の内溶液が吸引され, 後腹膜漿液性嚢胞の診断となった. 内容液の細胞診はclass Iであったが, CA125が1,000U/ml以上と高値であった. 2カ月後の腹部CT上, 嚢胞の残存を認めたため, 嚢胞摘出術を施行した. 嚢胞は右卵巣動静脈の背側にあり, 周囲からの剥離は容易であった. 病理所見上, 嚢胞内腔は1~2層の中皮細胞で覆われていて, 免疫染色...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 11; pp. 2895 - 2899 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2007
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.68.2895 |
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Summary: | 内腔が中皮細胞で覆われた後腹膜漿液性嚢胞の1例を経験したので報告する. 症例は, 虫垂切除と帝王切開の既往がある54歳, 女性. 自覚症状は無かったが, 検診で右後腹膜嚢胞を指摘され, 当科受診となった. 嚢胞穿刺で, 約500mlの漿液性の内溶液が吸引され, 後腹膜漿液性嚢胞の診断となった. 内容液の細胞診はclass Iであったが, CA125が1,000U/ml以上と高値であった. 2カ月後の腹部CT上, 嚢胞の残存を認めたため, 嚢胞摘出術を施行した. 嚢胞は右卵巣動静脈の背側にあり, 周囲からの剥離は容易であった. 病理所見上, 嚢胞内腔は1~2層の中皮細胞で覆われていて, 免疫染色でERおよびPgRは陰性であった. 手術所見および病理所見から, 当症例は後腹膜に発症したunilocular peritoneal inclusion cystであると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.68.2895 |