Invasive micropapillary carcinomaの組織像を呈した男性乳癌の1例
Invasive micropapillary carcinoma(以下IMP)の組織像を呈した,男性乳癌の非常に稀な1例を経験したので報告する. 症例は77歳,男性.2000年4月末頃に左乳房の腫瘤に気づいた.8月当科受診.左乳房に類円形で約5cmの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診にてadenocarcinomaの診断であった.左乳房切除+リンパ節郭清(Auchincloss法)施行.術後の病理組織検査にてIMPと診断された. IMPは,1993年にSiriaunkgulらが浸潤性乳管癌の1亜型として報告してから,浸潤癌のなかでもリンパ管侵襲・リンパ節転移が高度で予後の悪い組織型として近年注目さ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 11; pp. 2794 - 2798 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2008
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Subjects | |
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Summary: | Invasive micropapillary carcinoma(以下IMP)の組織像を呈した,男性乳癌の非常に稀な1例を経験したので報告する. 症例は77歳,男性.2000年4月末頃に左乳房の腫瘤に気づいた.8月当科受診.左乳房に類円形で約5cmの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診にてadenocarcinomaの診断であった.左乳房切除+リンパ節郭清(Auchincloss法)施行.術後の病理組織検査にてIMPと診断された. IMPは,1993年にSiriaunkgulらが浸潤性乳管癌の1亜型として報告してから,浸潤癌のなかでもリンパ管侵襲・リンパ節転移が高度で予後の悪い組織型として近年注目されているが,その報告例は少ない. その病理組織所見が,好酸性の細胞質をもつ立方状~円柱状の細胞が血管を含まない結合織性間質の伴った,微小乳頭状癌胞巣を形成し,周囲の間隙を介して細い膠原線維性の間隙に取り囲まれるという特徴的な組織像を示し,HE染色にて比較的容易に診断がつくとされている. しかし,その発症年齢,腫瘍径や肉眼所見は通常の乳癌と比べて差が無いため,術前にIMPであると診断を得ることは難しい.本症例においても臨床所見や画像においても通常の乳癌とは区別がつかなかった. 以上から,術前の穿刺吸引細胞診でIMPを推定することは診断治療方針の決定において重要であると考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.69.2794 |