AFP-L3分画が高値を示した胆管細胞癌の1例

症例は70歳, 男性. 体重減少を主訴として近医を受診. 肝腫瘤を認め当院へ紹介となった. CT・腹部エコーにて, 肝右葉に7cm大, さらに両葉に多発性の小結節を認めた. 肝炎ウイルスマーカーは陰性であった. 腫瘍マーカーはAFP 63.6 ng/ml, PIVKA-II 46 mAU/ml と軽度高値であるのに対し, CEAおよびCA19-9は正常値であった. さらにAFP-L3分画は88.2%と上昇しており, 肝細胞癌の可能性が高いと考えた. しかし, ダイナミックCTおよび肝血管造影では腫瘍は造影効果に乏しく, 画像所見では肝細胞癌は否定的であった. 肝腫瘍生検の結果, 低分化型腺癌で...

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Published in肝臓 Vol. 46; no. 10; pp. 622 - 627
Main Authors 丸山, 俊博, 松永, 高志, 中守, 真理, 河野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2005
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.46.622

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Summary:症例は70歳, 男性. 体重減少を主訴として近医を受診. 肝腫瘤を認め当院へ紹介となった. CT・腹部エコーにて, 肝右葉に7cm大, さらに両葉に多発性の小結節を認めた. 肝炎ウイルスマーカーは陰性であった. 腫瘍マーカーはAFP 63.6 ng/ml, PIVKA-II 46 mAU/ml と軽度高値であるのに対し, CEAおよびCA19-9は正常値であった. さらにAFP-L3分画は88.2%と上昇しており, 肝細胞癌の可能性が高いと考えた. しかし, ダイナミックCTおよび肝血管造影では腫瘍は造影効果に乏しく, 画像所見では肝細胞癌は否定的であった. 肝腫瘍生検の結果, 低分化型腺癌であり, 他に原発巣はなく胆管細胞癌と診断した. FP療法を行うも副作用のためDay5で中止. その後全身転移を来し初診より141日目に死亡した. AFP-L3分画の上昇は肝細胞癌に特異的であり, 胆管細胞癌で上昇することは稀であることから, 鑑別には慎重を要すると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.46.622