門脈ガス血症を呈した胃軸捻転症の1例

症例は39歳, 男性. 生来, 脳性麻痺の既往があったが, 経口摂取は問題なく可能であった. 2006年8月中旬, 夕食後より嘔吐が出現した. 以後24時間以上嘔吐が続き血性の吐物を認めたため, 当院緊急搬入された. 初診時, 上腹部に膨隆を認め, 腹部X線検査にて胃の著明な拡張および肝内に樹枝状のガス像を認めた. 腹部CTにても胃の著明な拡張, 肝内門脈および肝静脈内にガス像を認めた. 胃管を挿入したが, 挿入困難であったため, 透視下に挿入し減圧した. 一時的に症状軽快したが, 腹痛が増強し, ショック状態となったため, 緊急手術を施行した. 胃は短軸捻転しており, 胃上部胃壁に壊死性変化...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 11; pp. 2740 - 2744
Main Authors 中本, 充洋, 伊東, 紀子, 岡部, 正之, 児玉, 孝仁, 井原, 司, 野口, 純也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.2740

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Summary:症例は39歳, 男性. 生来, 脳性麻痺の既往があったが, 経口摂取は問題なく可能であった. 2006年8月中旬, 夕食後より嘔吐が出現した. 以後24時間以上嘔吐が続き血性の吐物を認めたため, 当院緊急搬入された. 初診時, 上腹部に膨隆を認め, 腹部X線検査にて胃の著明な拡張および肝内に樹枝状のガス像を認めた. 腹部CTにても胃の著明な拡張, 肝内門脈および肝静脈内にガス像を認めた. 胃管を挿入したが, 挿入困難であったため, 透視下に挿入し減圧した. 一時的に症状軽快したが, 腹痛が増強し, ショック状態となったため, 緊急手術を施行した. 胃は短軸捻転しており, 胃上部胃壁に壊死性変化を認めたため, 胃全摘術を施行した. 胃軸捻転症は比較的稀な疾患であり, これに門脈内ガス血症を合併した報告はない. 今回, 予後不良な病態徴候と考えられている門脈ガス血症を伴う胃軸捻転症に対し, 早期診断・外科的治療により救命しえた1例を経験した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2740