急性虫垂炎と術前診断された膿瘍形成を伴う虫垂粘液嚢胞腺腫の1例

症例は70歳,男性.3日前より持続する右下腹部痛を主訴として外来受診した.血液検査データ上,炎症所見は高値を示し腹部造影CTにて軽度腫大した虫垂を認め,その周囲に隔壁を伴う液貯留がみられた.急性虫垂炎・虫垂周囲膿瘍と診断し,同日緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察したところ,虫垂に表面平滑な腫瘤形成を認めた.周囲と癒着しており剥離する際に壁が破裂,白色膿汁が大量に流出した.腹腔鏡下では継続困難と判断し開腹,癒着剥離が困難であり回盲部切除術を施行した.摘出標本では直径約6cmの嚢胞の中央に虫垂様の構造物を認めた.病理組織学的検査では虫垂の嚢胞状拡張を認め,内腔には核腫大を示す上皮の乳頭状増殖を認めた...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 11; pp. 2917 - 2921
Main Authors 一瀬, 真澄, 冨士原, 正人, 田上, 修司, 山本, 育男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2917

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Summary:症例は70歳,男性.3日前より持続する右下腹部痛を主訴として外来受診した.血液検査データ上,炎症所見は高値を示し腹部造影CTにて軽度腫大した虫垂を認め,その周囲に隔壁を伴う液貯留がみられた.急性虫垂炎・虫垂周囲膿瘍と診断し,同日緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察したところ,虫垂に表面平滑な腫瘤形成を認めた.周囲と癒着しており剥離する際に壁が破裂,白色膿汁が大量に流出した.腹腔鏡下では継続困難と判断し開腹,癒着剥離が困難であり回盲部切除術を施行した.摘出標本では直径約6cmの嚢胞の中央に虫垂様の構造物を認めた.病理組織学的検査では虫垂の嚢胞状拡張を認め,内腔には核腫大を示す上皮の乳頭状増殖を認めたが明らかな悪性所見は認めず膿瘍形成を伴う虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.術後2日目に上腸間膜静脈血栓症を発症するも保存的に改善し第35病日に退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2917