胃脂肪肉腫の1例

症例は42歳,女性.下腹部腫瘤を主訴に,当科を紹介された.既往歴,家族歴に特記事項はなく,来院時現症では,軽度の貧血と腹部に小児頭大の可動性腫瘤を認めた.各種画像検査と内視鏡検査より,消化管間葉系腫瘍(胃GIST)が疑われ手術を行った.手術所見では,胃体上部後壁大彎側から壁外性に巨大発育する多結節性黄白色調の充実性腫瘤がみられ,周囲組織への浸潤はなく,腫瘤を含めた胃部分切除術を行った.病理組織所見は,脱分化型脂肪肉腫と判明した.胃脂肪肉腫の報告は少なく,これまで26例の報告(2009年)があるのみである.われわれの症例は,徐々に自覚された無痛性可動性腹部腫瘤が主訴で,切除標本での最大径は22c...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 2834 - 2839
Main Authors 大野, 吏輝, 河崎, 秀樹, 前田, 智治, 原田, 雅光, 大谷, 広美, 金村, 普史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2834

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Summary:症例は42歳,女性.下腹部腫瘤を主訴に,当科を紹介された.既往歴,家族歴に特記事項はなく,来院時現症では,軽度の貧血と腹部に小児頭大の可動性腫瘤を認めた.各種画像検査と内視鏡検査より,消化管間葉系腫瘍(胃GIST)が疑われ手術を行った.手術所見では,胃体上部後壁大彎側から壁外性に巨大発育する多結節性黄白色調の充実性腫瘤がみられ,周囲組織への浸潤はなく,腫瘤を含めた胃部分切除術を行った.病理組織所見は,脱分化型脂肪肉腫と判明した.胃脂肪肉腫の報告は少なく,これまで26例の報告(2009年)があるのみである.われわれの症例は,徐々に自覚された無痛性可動性腹部腫瘤が主訴で,切除標本での最大径は22cm,重量は1,300gであり,これまでの報告例の中でも3番目に大きなものであった.胃原発の脂肪肉腫は極めて稀であるが,本疾患を念頭に入れ,画像診断および手術をすすめることが重要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2834