若年男性に発症した多発性肺硬化性血管腫の一例
肺硬化性血管腫の多くが中年以降の女性に発症し,大部分は単発である.男性発症の多発例は非常にまれである.今回我々は,若年男性に発症した多発性肺硬化性血管腫を経験したので報告する.症例は22歳,男性.検診で右下肺野の異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで右下葉に限局して多発する辺縁明瞭な類円形の腫瘤陰影を認めた.大きさは最大で約1cmであった.全身検索で他の病変は認めなかったが,転移性肺腫瘍の可能性を考慮し診断目的で胸腔鏡下生検を施行した.胸腔内観察時,CTで指摘された腫瘤に加え下葉胸膜表面に径数ミリの微小な結節を多数認めた.上・中葉には肉眼で観察可能な病変は存在しなかった.病理診断で多発...
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Published in | 日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 21; no. 6; pp. 825 - 828 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
2007
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Subjects | |
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ISSN | 0919-0945 1881-4158 |
DOI | 10.2995/jacsurg.21.825 |
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Summary: | 肺硬化性血管腫の多くが中年以降の女性に発症し,大部分は単発である.男性発症の多発例は非常にまれである.今回我々は,若年男性に発症した多発性肺硬化性血管腫を経験したので報告する.症例は22歳,男性.検診で右下肺野の異常陰影を指摘され,当科を受診した.胸部CTで右下葉に限局して多発する辺縁明瞭な類円形の腫瘤陰影を認めた.大きさは最大で約1cmであった.全身検索で他の病変は認めなかったが,転移性肺腫瘍の可能性を考慮し診断目的で胸腔鏡下生検を施行した.胸腔内観察時,CTで指摘された腫瘤に加え下葉胸膜表面に径数ミリの微小な結節を多数認めた.上・中葉には肉眼で観察可能な病変は存在しなかった.病理診断で多発性硬化性肺血管腫の確定診断を得た.現在,術後14ヵ月で,残存病変の明らかな増大所見はなく,経過観察中である. |
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ISSN: | 0919-0945 1881-4158 |
DOI: | 10.2995/jacsurg.21.825 |