高CEA血症を呈し,腸重積で発症した虫垂粘液嚢胞腺腫の1例

78歳,女性.嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部膨満を認め,右下腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.腹部単純撮影では小腸ガスの貯留を認めた.血清CEA値は14.2ng/mlと高値であった.腹部CT検査では虫垂部に約9cmの瓢箪型をした嚢胞性腫瘤を認め,盲腸から上行結腸内への腫瘤嵌入による腸重積症を疑った.大腸内視鏡検査を施行したところ,重積した腫瘤に回盲弁が圧排されていたが,観察中に重積は解除された.虫垂粘液嚢腫の診断にて,開腹手術を施行した.腹腔内にリンパ節腫大や腹水貯留は認めず,回盲部切除(D2郭清)を施行した.摘出標本の嚢胞内容物は黄白色ゼリー状粘液であった.病理組織検査では,虫垂粘液嚢胞腺腫と...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 2596 - 2600
Main Authors 藤原, 立樹, 林, 政澤, 野坂, 俊壽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2596

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Summary:78歳,女性.嘔吐を主訴に当院を受診した.腹部膨満を認め,右下腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.腹部単純撮影では小腸ガスの貯留を認めた.血清CEA値は14.2ng/mlと高値であった.腹部CT検査では虫垂部に約9cmの瓢箪型をした嚢胞性腫瘤を認め,盲腸から上行結腸内への腫瘤嵌入による腸重積症を疑った.大腸内視鏡検査を施行したところ,重積した腫瘤に回盲弁が圧排されていたが,観察中に重積は解除された.虫垂粘液嚢腫の診断にて,開腹手術を施行した.腹腔内にリンパ節腫大や腹水貯留は認めず,回盲部切除(D2郭清)を施行した.摘出標本の嚢胞内容物は黄白色ゼリー状粘液であった.病理組織検査では,虫垂粘液嚢胞腺腫と診断され,悪性所見は認めなかった.血清CEA値は術後28日目に1.9ng/mlと正常化した.虫垂粘液嚢胞腺腫による腸重積症は報告が稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2596