左肺上葉切除後に残存肺の軸捻転をきたした1例

比較的稀だが重大な合併症である術後肺軸捻転の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性.経気管支肺生検にて腺癌と診断し,T2N1M0 c-Stage II Bのため左上葉切除術と縦隔リンパ節郭清術を施行した.術後1日目より胸部X線上左肺野の透過性低下を認め,術後3日目には発熱と炎症反応の異常高値を示した.気管支内視鏡検査にて左下幹の狭窄を認め,残存下葉の肺軸捻転を疑い再開胸術を施行した.肺は暗赤色で緊満し,気管支を軸に約180度捻転を起こしていた.残存肺の温存はできないと判断し,残存肺全摘を施行した.肺軸捻転を起こした要因として,肺靭帯の切離,縫合方向を考慮しない自動縫合器による気管支切離...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 22; no. 5; pp. 829 - 832
Main Authors 長谷川, 祥子, 須田, 隆, 北村, 由香, 根木, 浩路, 服部, 良信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2008
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Summary:比較的稀だが重大な合併症である術後肺軸捻転の1例を経験したので報告する.症例は52歳の男性.経気管支肺生検にて腺癌と診断し,T2N1M0 c-Stage II Bのため左上葉切除術と縦隔リンパ節郭清術を施行した.術後1日目より胸部X線上左肺野の透過性低下を認め,術後3日目には発熱と炎症反応の異常高値を示した.気管支内視鏡検査にて左下幹の狭窄を認め,残存下葉の肺軸捻転を疑い再開胸術を施行した.肺は暗赤色で緊満し,気管支を軸に約180度捻転を起こしていた.残存肺の温存はできないと判断し,残存肺全摘を施行した.肺軸捻転を起こした要因として,肺靭帯の切離,縫合方向を考慮しない自動縫合器による気管支切離,および閉胸時に残存肺の位置確認を十分留意しなかったことが考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.22.829