先天性門脈体循環シャントに対する外科的治療の効果

[背景] 先天性門脈体循環シャント(Congenital extrahepatic portosystemic shunt:CEPS)は,症候性CEPSにおいて内科的治療抵抗性の場合,外科的治療の適応となる.今回,2例の症候性CEPSに対しシャント血管結紮術を施行し,良好な結果を得たので報告する. [症例1] 8才,男児.検診による精査にて肝腫瘍を指摘され,増大傾向を認めたため,静脈管結紮切離術を施行した.術後1年6カ月,CT上多発性肝腫瘍は明らかに縮小した. [症例2] 1才4カ月,女児.出生後より腎静脈レベルの下大静脈に直接流入するシャント血管を認めており,肝肺症候群が悪化したため,シャン...

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Published in肝臓 Vol. 51; no. 11; pp. 652 - 663
Main Authors 眞田, 幸弘, 河原崎, 秀雄, 梅原, 実, 安田, 是和, 中田, 学, 浦橋, 泰然, 江上, 聡, 森, 美鈴, 脇屋, 太一, 水田, 耕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2010
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.51.652

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Summary:[背景] 先天性門脈体循環シャント(Congenital extrahepatic portosystemic shunt:CEPS)は,症候性CEPSにおいて内科的治療抵抗性の場合,外科的治療の適応となる.今回,2例の症候性CEPSに対しシャント血管結紮術を施行し,良好な結果を得たので報告する. [症例1] 8才,男児.検診による精査にて肝腫瘍を指摘され,増大傾向を認めたため,静脈管結紮切離術を施行した.術後1年6カ月,CT上多発性肝腫瘍は明らかに縮小した. [症例2] 1才4カ月,女児.出生後より腎静脈レベルの下大静脈に直接流入するシャント血管を認めており,肝肺症候群が悪化したため,シャント血管結紮切離術を施行した.術後6カ月で在宅酸素療法を離脱でき,レントゲン上も明らかに改善した. [考察] 症候性CEPSに対する外科的治療は,種々の合併症の根治的治療になるため,時期を逸せずに施行すべきである.外科的治療法の選択の際,術前の肝内門脈評価と門脈圧測定が重要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.51.652