肺癌術後に生じた,肺リンパ浮腫と考えられる5例についての検討

原発性肺癌に対する肺葉切除およびリンパ節郭清施行後に,5例において一過性の肺陰影の出現を認めた.いずれの症例も術後2週間以内に,胸部単純写真上,術側に間質性陰影の出現を認めた.胸部CTでも,術側のみに背側および横隔膜上を中心に分布する広義間質の肥厚像を認めた.うち1例に対して体位変換を伴うCT撮影を行ったところ,陰影が重力に伴い移動したこと等より,リンパ節郭清による一時的なリンパ流のうっ滞による肺リンパ浮腫と考えた.5例とも呼吸器症状は乏しく,約2~5ヵ月の経過観察で陰影は消失した.リンパ節郭清後に肺リンパ浮腫による一過性の間質性陰影を呈し,無治療で軽快しうる症例が存在すると考えられた....

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 2; pp. 140 - 145
Main Authors 大角, 潔, 野間, 恵之, 大角, 明宏, 長澤, みゆき, 橋本, 新一郎, 神頭, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2010
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.24.140

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Summary:原発性肺癌に対する肺葉切除およびリンパ節郭清施行後に,5例において一過性の肺陰影の出現を認めた.いずれの症例も術後2週間以内に,胸部単純写真上,術側に間質性陰影の出現を認めた.胸部CTでも,術側のみに背側および横隔膜上を中心に分布する広義間質の肥厚像を認めた.うち1例に対して体位変換を伴うCT撮影を行ったところ,陰影が重力に伴い移動したこと等より,リンパ節郭清による一時的なリンパ流のうっ滞による肺リンパ浮腫と考えた.5例とも呼吸器症状は乏しく,約2~5ヵ月の経過観察で陰影は消失した.リンパ節郭清後に肺リンパ浮腫による一過性の間質性陰影を呈し,無治療で軽快しうる症例が存在すると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.24.140