門脈腫瘍栓合併進行肝癌に対してシスプラチン動注化学療法が著効した1例

71歳女性.2000年3月,肝S2に約1 cm大の肝細胞癌を発症し,肝生検及び経皮的エタノール注入療法を行った.その後も肝細胞癌の再発を認めエピルビシンやマイトマイシンを用いた肝動脈化学塞栓術や経皮的肝局所療法(経皮的エタノール注入療法,経皮的マイクロ波凝固療法)を行ってきたにもかかわらず,両葉多発肝細胞癌と進行し左門脈にも腫瘍塞栓が出現したため,2005年2月より動注用シスプラチン(アイエーコール®)を用い約2年間で計6回の反復投与を行った.その後腫瘍は消失し,腫瘍マーカーも正常化した.経過中大きな副作用や合併症も認めず現在も外来にて経過観察中である.予後不良な門脈塞栓を伴う進行肝細胞癌に対...

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Published in肝臓 Vol. 50; no. 12; pp. 731 - 735
Main Authors 永松, 良介, 川村, 梨那子, 大橋, 理奈, 伊藤, 大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2009
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.50.731

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Summary:71歳女性.2000年3月,肝S2に約1 cm大の肝細胞癌を発症し,肝生検及び経皮的エタノール注入療法を行った.その後も肝細胞癌の再発を認めエピルビシンやマイトマイシンを用いた肝動脈化学塞栓術や経皮的肝局所療法(経皮的エタノール注入療法,経皮的マイクロ波凝固療法)を行ってきたにもかかわらず,両葉多発肝細胞癌と進行し左門脈にも腫瘍塞栓が出現したため,2005年2月より動注用シスプラチン(アイエーコール®)を用い約2年間で計6回の反復投与を行った.その後腫瘍は消失し,腫瘍マーカーも正常化した.経過中大きな副作用や合併症も認めず現在も外来にて経過観察中である.予後不良な門脈塞栓を伴う進行肝細胞癌に対しシスプラチンを用いた治療は今後も予後改善に寄与すると考える.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.50.731