縦隔内胸管嚢胞破裂により乳糜胸を発症した1例

症例は59歳女性.2日前より呼吸苦があり近医を受診.胸部X線で右胸水貯留と診断され,当院に搬送となった.来院時,呼吸不全状態であり,CTで右大量胸水により右肺は虚脱し,縦隔は左に偏位していた.緊急で胸腔ドレーンを挿入したところ,白濁した胸水が流出し,乳糜胸と診断した.絶食,中心静脈輸液にて乳糜の排出が止まらないため手術を施行した.術前に脂肪負荷し,開胸したところ,横隔膜部で胸管が嚢胞状に拡張しており胸管嚢胞と診断した.胸管をミルキングすると破裂した胸管嚢胞より乳糜が漏出した.胸管嚢胞を腹側に追跡したところ,後腹膜に至るところまで連続していたため,可能なところまで剥離し結紮した.術後経過は良好で...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 25; no. 7; pp. 773 - 775
Main Authors 飯森, 俊介, 住友, 伸一, 松本, 和也, 奥田, 昌也, 中野, 貴之, 住友, 亮太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2011
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Summary:症例は59歳女性.2日前より呼吸苦があり近医を受診.胸部X線で右胸水貯留と診断され,当院に搬送となった.来院時,呼吸不全状態であり,CTで右大量胸水により右肺は虚脱し,縦隔は左に偏位していた.緊急で胸腔ドレーンを挿入したところ,白濁した胸水が流出し,乳糜胸と診断した.絶食,中心静脈輸液にて乳糜の排出が止まらないため手術を施行した.術前に脂肪負荷し,開胸したところ,横隔膜部で胸管が嚢胞状に拡張しており胸管嚢胞と診断した.胸管をミルキングすると破裂した胸管嚢胞より乳糜が漏出した.胸管嚢胞を腹側に追跡したところ,後腹膜に至るところまで連続していたため,可能なところまで剥離し結紮した.術後経過は良好であり,乳糜胸の再発は認めていない.縦隔内胸管嚢胞は現在までに32例の報告がされている稀な疾患である.本症例のように破裂すると乳糜胸による呼吸不全を呈することもあり注意が必要である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.25.773