19年の経過で繰り返し肝生検を行ったTFR2ヘモクロマトーシスの1例

症例は68歳男性.病歴,血液検査,画像検査,肝組織像,遺伝子解析などから,TFR2ヘモクロマトーシス(1861_1872del 12)と診断した.診断時,すでに肝硬変であったが,瀉血による治療を継続し,診断後20年経過しているが,糖尿病や心不全の発症なく,良好な経過をえている.19年目に施行した肝生検でも,初回肝生検に比べ,肝内の鉄沈着は消失し,明らかに線維は細くなり,膠原線維のみならず,弾力線維,好銀線維の改善が確認された.ヘモクロマトーシスにおいては,診断と瀉血治療の継続が重要であると考えられた....

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Published in肝臓 Vol. 52; no. 11; pp. 745 - 752
Main Authors 川中, 美和, 中村, 純, 岡, 好仁, 木村, 智成, 後藤, 大輔, 大和, 隆明, 西野, 謙, 末廣, 満彦, 河本, 博文, 山田, 剛太郎, 服部, 亜衣, 林, 久男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2011
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Summary:症例は68歳男性.病歴,血液検査,画像検査,肝組織像,遺伝子解析などから,TFR2ヘモクロマトーシス(1861_1872del 12)と診断した.診断時,すでに肝硬変であったが,瀉血による治療を継続し,診断後20年経過しているが,糖尿病や心不全の発症なく,良好な経過をえている.19年目に施行した肝生検でも,初回肝生検に比べ,肝内の鉄沈着は消失し,明らかに線維は細くなり,膠原線維のみならず,弾力線維,好銀線維の改善が確認された.ヘモクロマトーシスにおいては,診断と瀉血治療の継続が重要であると考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.52.745