血管内留置コイルを指標として部分切除を行った小腸Dieulafoy血管奇形の1例

下血を主訴とし, 術前血管造影検査と病変部へのコイルの留置が出血源の診断および術中の病変同定に有用であった, 稀な小腸Dieulafoy血管奇形の1切除例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男性. 繰り返す多量の下血と血圧低下を主訴に近医に入院したが, 消化管の造影検査, 内視鏡検査, 腹部CTでも原因不明で紹介入院となった. 腹部血管造影検査で小腸の末梢の血管に血管外漏出を認め, コイルを留置して緊急手術を施行した. 術中遠位空腸に腫瘤様病変を認め, さらに透視下で塞栓したコイルを確認することで出血部位を同定し, 病変部の小腸部分切除を行った. 摘出標本で小さな赤色の隆起性病変を認め,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 10; pp. 2517 - 2521
Main Authors 今村, 直哉, 前原, 直樹, 佛坂, 正幸, 千々岩, 一男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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Summary:下血を主訴とし, 術前血管造影検査と病変部へのコイルの留置が出血源の診断および術中の病変同定に有用であった, 稀な小腸Dieulafoy血管奇形の1切除例を経験したので報告する. 症例は44歳, 男性. 繰り返す多量の下血と血圧低下を主訴に近医に入院したが, 消化管の造影検査, 内視鏡検査, 腹部CTでも原因不明で紹介入院となった. 腹部血管造影検査で小腸の末梢の血管に血管外漏出を認め, コイルを留置して緊急手術を施行した. 術中遠位空腸に腫瘤様病変を認め, さらに透視下で塞栓したコイルを確認することで出血部位を同定し, 病変部の小腸部分切除を行った. 摘出標本で小さな赤色の隆起性病変を認め, 病理組織検査で病変の粘膜下に異常血管を認め, 粘膜面で破裂していた. 小腸のDieulafoy血管奇形の破裂による下血と診断した. 原因不明の消化管出血では, Dieulafoy血管奇形など稀な小腸病変が原因である可能性に注意を払う必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.2517