残存肺全摘を余儀なくされた左肺上葉切除後気管支変形の1例

左肺上葉切除後に残存気管支の変形による閉塞性肺炎を繰り返し残存肺全摘を余儀なくされた肺癌の1例を報告する.患者は73歳,男性.左B1+2原発の扁平上皮癌に対し左肺上葉切除術を施行し,気管支断端は手縫いによるSweet法で閉鎖した.術後1年目から左残存肺の肺炎を発症し,気管支鏡検査では残存気管支の強い変形によりスリット状に狭窄した底幹入口部が認められた.一時的には保存的治療にて改善したが,その後も閉塞性肺炎による入退院を繰り返した.バルーン拡張術も試みたが効果なく,残存肺は徐々に線維化が強くなり感染コントロールが困難となったため初回手術後8年目に左残存肺全摘術を施行した.切除標本では下葉支の変形...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 20; no. 6; pp. 834 - 838
Main Authors 淀縄, 聡, 小川, 功, 藤原, 明, 吉田, 進, 後藤, 行延, 伊藤, 博道, 北原, 美由紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2006
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Summary:左肺上葉切除後に残存気管支の変形による閉塞性肺炎を繰り返し残存肺全摘を余儀なくされた肺癌の1例を報告する.患者は73歳,男性.左B1+2原発の扁平上皮癌に対し左肺上葉切除術を施行し,気管支断端は手縫いによるSweet法で閉鎖した.術後1年目から左残存肺の肺炎を発症し,気管支鏡検査では残存気管支の強い変形によりスリット状に狭窄した底幹入口部が認められた.一時的には保存的治療にて改善したが,その後も閉塞性肺炎による入退院を繰り返した.バルーン拡張術も試みたが効果なく,残存肺は徐々に線維化が強くなり感染コントロールが困難となったため初回手術後8年目に左残存肺全摘術を施行した.切除標本では下葉支の変形により気管支軟骨部が内腔に突出し底幹が強く狭窄していた.気管支が屈曲した原因として気管支断端が短く,Sweet法で閉鎖したことが考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.20.834