横隔膜へ進展した横隔神経原発の神経鞘腫の一例

症例は58歳男性,検診にて胸部X線上右心横隔膜角に異常陰影を指摘され入院となった.胸部造影CTでは心膜,横隔膜に接して約2.5×3.0cmの腫瘍影を認めた.手術は開胸,鏡視下併用で行った.腫瘍は横隔膜・心膜移行部に位置し,横隔膜より胸腔側へ突出するような形で存在した.横隔神経が腫瘍に向かい腫瘍近傍で太く巻き込まれているのが確認できた.腫瘍は横隔膜への進展がみられ横隔膜を含めた合併切除が必要であった.病理診断は神経鞘腫であった.以上の所見より横隔神経の横隔膜付着部より発生した神経原性腫瘍と考えられた.横隔神経原発の神経鞘腫は稀な疾患であり,本邦における報告例は自験例を含めて21例にすぎない.一方...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 21; no. 5; pp. 707 - 712
Main Authors 池田, 康紀, 小森, 俊明, 本間, 浩一, 三好, 新一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2007
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Summary:症例は58歳男性,検診にて胸部X線上右心横隔膜角に異常陰影を指摘され入院となった.胸部造影CTでは心膜,横隔膜に接して約2.5×3.0cmの腫瘍影を認めた.手術は開胸,鏡視下併用で行った.腫瘍は横隔膜・心膜移行部に位置し,横隔膜より胸腔側へ突出するような形で存在した.横隔神経が腫瘍に向かい腫瘍近傍で太く巻き込まれているのが確認できた.腫瘍は横隔膜への進展がみられ横隔膜を含めた合併切除が必要であった.病理診断は神経鞘腫であった.以上の所見より横隔神経の横隔膜付着部より発生した神経原性腫瘍と考えられた.横隔神経原発の神経鞘腫は稀な疾患であり,本邦における報告例は自験例を含めて21例にすぎない.一方,本症例のような横隔膜への進展を認め合併切除が必要であった例は報告なく極めて稀な形態と思われた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.21.707