年間平均成長量(MAI)から見た土地期望価(LEV)による林業の経営判断

日本の人工林の持続的な有効活用指針を示すことは,国土計画や山村振興を図るために重要である。そこで林業を行う人工林の価値を,投資経営対象指標として用いる土地期望価(LEV)により分析した。支出キャッシュフローは単位材積量当たりの素材生産費と運搬・流通費からなる生産コスト(PC),および単位土地面積当たりの造林・初期保育コスト(SC)とし,収入キャッシュフローは単位土地面積当たりの年間平均成長量(MAI)に立木価格と輪伐期を乗じた値として計算した。スギ人工林の平均MAIを10 m3/ha・年とし,現状のPC(7,000円/m3)とSC(150万円/ha)を仮定すると,1%の割引率で投資経営対象とな...

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Published in日本森林学会誌 Vol. 103; no. 3; pp. 200 - 206
Main Authors 久保山, 裕史, 宇都木, 玄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本森林学会 01.06.2021
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.103.200

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Summary:日本の人工林の持続的な有効活用指針を示すことは,国土計画や山村振興を図るために重要である。そこで林業を行う人工林の価値を,投資経営対象指標として用いる土地期望価(LEV)により分析した。支出キャッシュフローは単位材積量当たりの素材生産費と運搬・流通費からなる生産コスト(PC),および単位土地面積当たりの造林・初期保育コスト(SC)とし,収入キャッシュフローは単位土地面積当たりの年間平均成長量(MAI)に立木価格と輪伐期を乗じた値として計算した。スギ人工林の平均MAIを10 m3/ha・年とし,現状のPC(7,000円/m3)とSC(150万円/ha)を仮定すると,1%の割引率で投資経営対象とならなかった。現状のコストを想定して投資経営対象となるには,MAIが17 m3/ha・年以上,輪伐期は91年以上となり,さらにPCとSCを約10%低コスト化できれば,40年程度の輪伐期で投資経営対象となった。これらのことからMAIを基準として人工林のゾーニングを行い,生産コストと造林・初期保育コストから輪伐期を設定したうえで経営判断を行うことが重要である。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.103.200