One step RT-PCR法による媒介蚊からのフラビウイルスRNAの検出条件の検討

デング熱, ウエストナイル熱など世界中で蚊媒介性感染症の流行, 拡散がみられており, フラビウイルス属の国内侵入が強く懸念されている. そのために, フラビウイルス媒介蚊のサーベイランスを効率かつ有効に行えるシステム構築を念頭に, one step RT-PCR法による媒介蚊からのフラビウイルスRNAの検出条件および採集蚊の保存条件の検討を行った. 検出条件では, ISOGEN-LSおよびカラムの使用, 熱処理など検討したが, 蚊乳剤の遠心上清からISOGEN-LS抽出することが最も高感度であった. この抽出法により各ウイルスの検出感度をウイルス量 (Plaque forming unit:...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 77; no. 10; pp. 822 - 829
Main Authors 江下, 優樹, 鎌倉, 和政, 林, 昭宏, 内田, 幸憲, 多賀, 賢一郎, 井村, 俊郎, 森, 英人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.10.2003
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.822

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Summary:デング熱, ウエストナイル熱など世界中で蚊媒介性感染症の流行, 拡散がみられており, フラビウイルス属の国内侵入が強く懸念されている. そのために, フラビウイルス媒介蚊のサーベイランスを効率かつ有効に行えるシステム構築を念頭に, one step RT-PCR法による媒介蚊からのフラビウイルスRNAの検出条件および採集蚊の保存条件の検討を行った. 検出条件では, ISOGEN-LSおよびカラムの使用, 熱処理など検討したが, 蚊乳剤の遠心上清からISOGEN-LS抽出することが最も高感度であった. この抽出法により各ウイルスの検出感度をウイルス量 (Plaque forming unit: PFU) として評価したところ, 蚊100個体のプールからフラビウイルス共通プライマーを用いた場合は100PFU, 各ウイルス特異的プライマーでは10PFUであった. そして, 人工的に作製したデングウイルス感染蚊1個体と未感染蚊99個体のプールからウイルスRNAの検出が可能であった. また, 保存条件の検討では, 冷凍・冷蔵でなくとも室温で30日間経過してもウイルスRNA検出は同レベルで可能であった. 以上のことから, 本研究による諸条件の設定のもと, 実効性の高い, 簡便安価でかつ短時間での判定が可能なone step RT-PCR法によるフラビウイルス媒介蚊のサーベイランスへの実用が可能となり, 新たなサーベイランスシステム構築の大きな一助になるものと思われた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.822