高分化型のBorrmann IV型胃癌の1例
症例は58歳の女性で,多発性骨髄腫の化学療法中にCTにて胃体上部の壁肥厚と壁内に多数の嚢胞性病変を指摘された.胃透視検査では体上部から穹窿部に境界不明瞭な壁の硬化を認め,胃内視鏡検査所見は胃体上部後壁を中心とした境界不明瞭な丈の低い結節状隆起を呈していた.組織診は高分化型の腺癌であった.多発性胃粘膜下嚢腫を伴ったBorrmann IV型の進行胃癌と診断し手術を施行した.癌は体上部から穹窿部全体に浸潤し,漿膜露出と腹膜播種も認めた.病理組織学的検査所見は明瞭な腺腔形成を示す高分化型の腺癌で繊維化を伴いびまん浸潤していた.免疫染色検査ではMUC2陰性,MUC5AC・MUC6陽性で胃型であった.高分...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 9; pp. 1472 - 1477 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.09.2009
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.42.1472 |
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Summary: | 症例は58歳の女性で,多発性骨髄腫の化学療法中にCTにて胃体上部の壁肥厚と壁内に多数の嚢胞性病変を指摘された.胃透視検査では体上部から穹窿部に境界不明瞭な壁の硬化を認め,胃内視鏡検査所見は胃体上部後壁を中心とした境界不明瞭な丈の低い結節状隆起を呈していた.組織診は高分化型の腺癌であった.多発性胃粘膜下嚢腫を伴ったBorrmann IV型の進行胃癌と診断し手術を施行した.癌は体上部から穹窿部全体に浸潤し,漿膜露出と腹膜播種も認めた.病理組織学的検査所見は明瞭な腺腔形成を示す高分化型の腺癌で繊維化を伴いびまん浸潤していた.免疫染色検査ではMUC2陰性,MUC5AC・MUC6陽性で胃型であった.高分化型のBorrmann IV型胃癌はまれである.本症例では拡張した癌腺管と,境界不明瞭で丈の低い結節状隆起を示した内視鏡像が特異であり,前者は高分化型Borrmann IV型癌に,後者は胃型の分化型癌に関係した性質と考えられた. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.42.1472 |